2009年06月13日

全盲の辻井さん優勝の波紋

 全盲の辻井さんが、バン・クライバーン国際コンクールで優勝して数
日。無条件に素晴らしい快挙だということを前提にしての話ですが・・・

 お祝いムードが変な方向にいかなければいいがと思っていましたが、
やはりね。何しろ巷に、「能力を引き出せないのは親の責任」という強
迫観念が渦巻いている今日この頃。「子どもは親次第」という論調がさ
らに勢いを増しそうです。

 辻井さんは突出した才能の持ち主。しかも視覚障害は、実は楽器の演
奏にそれほど影響しません。基本的に、楽器は見て弾くものではないか
らです。だから昔から、視覚障害を持つ人はしばしば演奏者として身を
立てました。瞽女さんなどがそうです。

 そして辻井さんはしっかりした能を持ち、豊かで教育的配慮に恵まれ
た家庭に育ちました。優しそうな医者のお父さんと、おしゃれで若く見
えるお母さんを見ただけでわかります。御両親の適切な対応は素晴らし
いけれど、特別な成功例です。

 最近は子育てに「成果」を求め過ぎ。新聞までが時流におもねって
「天才の育て方」などどいうインタビュー記事を載せたりしていますが
(ちなみに朝日)、勘違いです。この快挙で、何も障害がないのに
子どもに手を焼いている母親や、はたからは見えない学習障害などの軽
い障害を持っている母親は、追い詰められるでしょう。

 息子の不登校に悩む知り合いから、「要は家庭の格差なのね」という
メールが来ました。これで「教育の過剰」がさらに加速されるのか
なぁ。おお嫌だ。

        川西玲子
posted by 風の人 at 16:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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