民主化運動の指導者だった王丹やウカルカイシらが発言しています。
私は最近、作家の鄭義が書いた「中国の地の底で」(朝日新聞
社)を読みました。
天安門事件に関わって指名手配され、数年潜伏した後、アメリカに亡命
した人です。
恐らく、現代中国最高の知識人の一人。
彼は熱烈な毛沢東思想の支持者として紅衛兵活動を行った後、下放先で
思想的展開を遂げます。
そして天安門事件を経て、中国共産党を全面否定するに至ったのです。
一方、私はmixiで何人かの若い中国人とやり取りしています。
共産党や天安門事件についても意見交換してきました。
そして今、こういうふうに考えるようになりました。
「08憲章の署名者も含めて、民主化を求める人々は、60年
安保や全共闘を経て形成された日本の反体制派と同様の存在になりつつ
ある」。
つまり「言っていることは正しいのだが、多数派に影響を与えることが
できない少数派として孤立しつつある」ということです。
そこが、最終的にはサラリーマンも巻き込んだ100万人の大デモ
で軍事政権を倒した、韓国の民主化運動との決定的な違いです。
鄭義は素晴らしい知性と洞察力とで、中国社会の根深い病根を指摘。
同時に、現状に甘んじて立ち上がらない中国人の気性を批判しています。
私はその鋭さに感服しますが、この主張は多くの中国人を敵に回すやり
方でもあります。
果たしてこの方法論が中国を変えることができるのか。
私は懐疑的です。
韓国の場合、開発独裁による経済成長が、最終的に民主化運動に力を与
えました。
中国も長期的にはそこに向かっていると思われます。
私の知っている中国人留学生やビジネスマンは、政治的にもかなり成熟
した意見を持っています。
彼らはやがて、改革の主流を占めることでしょう。
外からの批判というものが、果たして社会を変える力になるのか。
私も含めて、内向きになりがちな日本の反体制には反省点が多くありま
す。
中国の反体制派が、我々と同じ道をたどらないことを私は祈ります。
川西玲子
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