2009年01月17日

「侵略テロ国家」イスラエル VS 「イスラム過激派」ハマス?

以下の意見を朝日新聞に「問い合わせフォーム」↓から送りました。https://se01.asahi.com/reference/form.html

太田光征
http://otasa.net/

「侵略テロ国家」イスラエル VS 「イスラム過激派」ハマス?

朝日新聞御中

イスラエルのガザ虐殺に関する貴紙1月10日の社説を拝見しました。ところどころ違和感のある箇所がありましたので、意見させていただきます。

貴紙は、イスラエルをそのままで呼称し、ハマスに関しては「イスラム過激派」という枕詞をつけています。パレスチナ問題の報道では、イスラエルとハマスを平等扱いする一方で、ハマス側に非があるとする構図が併用されているように思います。

ハマスはいわば半官半民の民生事業団であり、「イスラム過激派」がその本質ではありません。むしろイスラエル側にこそ、「シオニズム過激国家」「侵略テロ国家」などの枕詞をつけるべきではないでしょうか。

貴紙は、安保理による停戦決議採択後にイスラエルが「空爆」を続け、ハマスが(手製)「ロケット弾」を打ち込んでいることを評して、「国際社会の圧力を横目に見ながら、双方とも相手を挑発しているとしか思えない」としています。

侵略によりパレスチナ人の生存権と人間の尊厳を侮蔑的に極限まで奪ってきたのがイスラエルであり、窮鼠猫を噛むの鼠にあたる、石ころの延長に過ぎないロケット弾などで抵抗を見せているのがパレスチナ人です。敢えていえば、「凡人」にしてみればごく自然な反応を示しています。パレスチナ人の抵抗は決して軽々な「挑発」などではありません。貴紙のこの評価に象徴されるイスラエル・パレスチナ平等観は、決して事態の解決には貢献しないでしょう。

貴紙はまた、「イスラエルの生存権を認めないハマスと、ハマスを『テロ組織』と決め付けるイスラエルが直接ぶつかり合う構図になっていることが、ここまで事態を悪化させ、犠牲を増やした原因である」と断言しています。しかし、ハマスは「軍事占領しているイスラエルは認めない」という認識のはずで、貴紙に限らず上記のハマス観は事実誤認ではないでしょうか。松元保昭さんによる文章(http://unitingforpeace.seesaa.net/article/112748153.html)を是非お読みください。

さらに貴紙は、「ヨルダン川西岸のファタハは和平を推進し、ガザのハマスは拒否する」と明確に認識されています。今回のガザ虐殺に抗議するパレスチナ人を弾圧するファタハが、真の和平推進者なのかどうか、疑問です。イスラエルの占領固定化に寄与しているといえるのではないでしょうか。

私が思うに、「パレスチナの生存権を認めないイスラエルと、イスラエルを『侵略テロ国家』と決め付けない国際社会・メディアが直接ぶつかり合わない構図になっていることが、ここまで事態を悪化させ、犠牲を増やした原因」です。ガザ虐殺の根源であるイスラエルによる占領を掘り下げて報道されるよう、お願いいたします。
posted by 風の人 at 18:52 | Comment(0) | TrackBack(2) | 一般
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