2022年04月10日

ウクライナ危機:英国人フォトジャーナリストのマクシミリアン・クラーク氏が記録するドンバス地域の戦争被害

マクシミリアン・クラーク(Maximilian Clarke)氏は、フェイスブックでの自己紹介によれば、イラク、アフガニスタン、ウクライナ、ロンドンで紛争と人物を写している写真家です。公式サイトによれば、アフガンの学校を支援する活動も行っています。

Maximilian Clarke(@MTIClarke)さん / Twitter
https://twitter.com/MTIClarke
Maximilian Clarke | Facebook
https://www.facebook.com/maximilian.clarke
Maximilian Clarke Photography
https://www.maximilianclarke.co.uk/
Maximilian Clarke - YouTube
https://www.youtube.com/c/MaximilianClarke/videos

クラーク氏は香港のフォトエージェシーSOPA Imagesを通じて、CBSに(4)の写真を提供しています。クラーク氏がCBSに写真を提供したことは、クラーク氏の別の写真(1)と同じものが(2)の写真販売サイトに掲載されており、(2)と(4)に加え、(3)など多くのSOPA Imagesのツイッター写真にMaximilian Clarke/SOPAのクレジットが付いていることで証明されます。Maximilian Clarke/Sipaのクレジットがある(5)のCNNの写真も、おそらくクラーク氏が提供したものでしょう。

(1)Maximilian ClarkeさんはTwitterを使っています:
Central #Mariupol. This is just a fraction of the death I saw today. I'm choosing not to share the worst images.
https://twitter.com/MTIClarke/status/1510720040018010117

(2)ZUMA Press - Image Search: Russian War on Ukraine: Conflict Continues in Mariupol
http://www.zuma.press/srp.html?HEADLINE=Russian+War+on+Ukraine:+Conflict+Continues+in+Mariupol&PDS=&PDS=

(3)SOPA ImagesさんはTwitterを使っています:
(EDITORS NOTE: Image depicts death) Multiple civilians lie #dead in an intersection in the centre of Mariupol as a Donetsk soldier stands guard in #Mariupol, #Ukraine on Apr 3, 2022. The war between #Russian forces & defending Ukrainian continues in Mariupol. 📷 Maximilian Clarke
https://twitter.com/sopaimages/status/1511178804672483332

(4)Russians push deeper into port city of Mariupol as locals plead for help: "Children, elderly people are dying" - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/mariupol-russia-ukraine-war-locals-plead-for-help/

(5)CNN.co.jp : プーチン氏が「目標修正」、ウクライナ東部で5月に勝利宣言か 米情報当局
https://www.cnn.co.jp/world/35185792.html

親ロシア派が支配するウクライナ東部のドンバス地域(ドネツク、ルハンスク)における戦争被害を伝えるジャーナリストは、ことごとくロシアの手先というレッテルを貼られています。今のところ、キーワード「Maximilian Clarke」でGoogle検索しても、それらしいレッテルは見当たりませんが、クラーク氏も時間の問題かもしれません。

今のうちに、彼がユーロマイダン革命時から撮り続けてきた映像のうち、今回のロシアによるウクライナへの大規模侵攻後のものを紹介します。YouTubeチャンネルにはもちろん、過去の映像もあります。

ウクライナ側と思われる地点からドネツク人民共和国(DPR)支配下の住宅地に砲弾とミサイルによる攻撃があることが記録されています。CBSというメディアは、彼の写真の存在を知りながら、親ロシア派住民の被害を報道しているでしょうか。キーワード「Maximilian Clarke CBS」で検索しても、上記(4)の記事しか出てきません。西側メディアの偏向ぶりをよく示しています。

ドネツクへの砲撃については、ウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏も3月1日のデモクラシー・ナウ!の番組*で、「ロシアがハリコフや他の都市を砲撃している間、ウクライナはドネツクへの砲撃を続けた」と説明しています。

*ウクライナ危機:全当事者の反省による道義力の回復を基盤に新たな安全保障を提案する形で停戦へ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486063689.html

ドンバス内戦が今も継続中で、親ロシア派住民にも被害が出ていることを報道するかしないかは、今回の大規模侵攻の停戦気運に影響するはずです。

前置きが長くなりましたが、以下、動画をご紹介します。

ドネツクの住宅地が砲撃される
2022年4月6日
Donetsk residential neighbourhood shelled - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=6rFuLN_MzL4
ドネツクのペトロフカ地区、ドネツク人民共和国(DPR)/ウクライナ前線付近で砲撃される。

ドネツクの家屋が砲撃で炎上
2022年3月28日
Donetsk houses burn after artillery strike - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=42JGwsmZsvM
ウクライナのペスキーと思われる地点から、それに隣接するドネツクのキエフスキーで、砲撃により、複数の民間建物が燃え、その他にも多くが被害を受けている。

マリウポリ:避難の列を成す住民たち(車列は白布を付けている)
2022年3月20日
Mariupol: residents queuing to flee - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=AI8hFRw5Gvo
包囲された港湾都市マリウポリ(ドネツク地域南部のアゾフ海岸にある)の住民は、ドネツク人民共和国/ロシア管理地域につながる北部の人道回廊を経由して市外に脱出するために車や徒歩で列を成している。

極めて生々しく心をかき乱す映像:ドネツクにおけるクラスター爆弾の影響
2022年3月15日
Extremely graphic and disturbing: Donetsk cluster bomb aftermath - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_7T1MYc4Y7s
クラスター爆弾の弾頭を搭載したトーチカU(スカラベ)弾道ミサイル(ウクライナ軍が発射したとされる)がドネツクのまさに中心部を襲い、約26人の市民が死亡し、悪夢のような光景が広がっている。

下記はマリウポリにおける親ロシア派兵士の様子を示した動画です。

マリウポリ中心部とその周辺(親ロシア派兵士は赤白腕章を付けている)
2022年4月1日
In and around central Mariupol - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4OIaoOzyCNI
包囲された港湾都市マリウポリ(ウクライナ南東部のドンバス南部のアゾフ海岸沿い)における生き様を短く浮き彫りにする。


太田光征
posted by 風の人 at 20:59 | Comment(0) | ウクライナ危機

ウクライナ危機:日本の国会とメディアは情報戦に荷担するな

米国・西側による対ロシア情報戦に基づいて、ロシアについての妄想が作られています。対ロシア情報戦では、ロシア軍による蛮行ひいてはロシア軍に対する憎悪の「水増し」も行われているとみるべきでしょう。これらはロシアによるウクライナ侵略反対という大義を超えており、ロシアそのものの解体を狙う米国の戦略を支えるものです。さらには中国・北朝鮮のイメージへと自動的に重なる形で、東アジアでの軍事的緊張を高める方向に作用します。残念ながら、こうした効果を持つ情報戦に、日本のメディアと国会が荷担しています。

ウクライナ危機:ゼレンスキーに国会で「ロシアが化学兵器攻撃を準備」発言を許した責任は重大
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486375216.html

ウクライナ反戦運動の目標は、ロシア軍の撤退、ドンバス内戦の終結、米国による対ロ・対中戦争の抑止にあるはずです。日本の役割は、火消し役を務めることであり、戦争を煽ることではありません。

NBCの下記記事は、全体として米国による情報戦の有用性を認めているようなものですが、ご紹介します。

米国は過去の慣例を破り、ロシアとの情報戦のために、確かな根拠がなくとも機密解除した情報を使用している
In a break with the past, U.S. is using intel to fight an info war with Russia, even when the intel isn't rock solid
https://www.nbcnews.com/politics/national-security/us-using-declassified-intel-fight-info-war-russia-even-intel-isnt-rock-rcna23014

タイトル自体がふざけています。プロパガンダによってイラク戦争を開始したことなどにはまったっく触れていません。米国は情報戦を先手の手段と位置付けているわけですが、物理的な敵基地攻撃論(ただの戦争)と同じ考え方です。(外見上の)ウクライナが攻められたらどうする論であって、米国が戦争を仕掛けたらどうするかを批判しているわけではありません。

以下、抜粋翻訳です。

<考え方は、クレムリンの戦術に先手を打ち、軍事作戦を複雑化させ、「モスクワのプロパガンダを弱体化させ、この戦争が世界でどのように認知されるかをロシアが決定付けることを阻止するため」(この戦略に詳しい西側政府当局者)というもの。>(太田:米国のプロパガンダによる認知誘導をも認めているようなもの)

<複数の米政府関係者は、情報の正確性に対する信頼が高くない場合でも、米国は情報を武器として使ってきたと認めている。化学剤の場合ように信頼性の低い情報を抑止力のために使うこともあれば、ある当局者が言うように、米国は単に「プーチンの頭の中に入ろうとしているだけ」である。>

<2人の米政府当局者は、プーチンの側近がプーチンに嘘をついているかどうかについての情報は決定的なものではなく、確かな証拠よりも分析に基づくものであると語った。他の当局者は、情報は非常に信頼性が高く、最高レベルで吟味されていると述べ、これに異議を唱えた。>

<米政府当局者は、中国がロシアへの武器供与を検討している兆候はないと述べた。バイデン政権は、そうしないよう中国に警告するためにそれを出した。>

<「我々は、米国さらに広くその同盟国やパートナーが、戦わずに勝つこと、今やいわゆるグレーゾーンで戦うこと、そして進行中の物語の戦争で弾薬を供給することを実現させるために、この支援(訳注:情報戦)を要請する」と、大将らは当時の国家情報長官代理のジョゼフ・マグワイアに書き送った。>


太田光征
posted by 風の人 at 15:55 | Comment(0) | 一般

ウクライナ危機:ゼレンスキーに国会で「ロシアが化学兵器攻撃を準備」発言を許した責任は重大

3月23日、下記の意見を自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組にオンラインで送りました。

ゼレンスキーに国会で「ロシアが化学兵器攻撃を準備」発言を許した責任は重大

国会の場でゼレンスキーにロシアが化学兵器攻撃を準備しているという報告を受けていると言わせたことは、重大な問題です。世間は3月20日のイラク戦争19年をスルーしたが、イラクが大量破壊兵器を持っているとでっち上げて米国が開始したイラク戦争の悪夢を想起しないのでしょうか。
プロパガンダは戦争を焚き付けるものです。私は貴党あてに「ゼレンスキーの国会演説は控えめにいっても戦意高揚ないし情報戦、可能性としてはプロパガンダの主張をするための場を与えることになるものであり、言語道断です」と意見を送りました。

ロシアが化学兵器攻撃を準備していることの真偽は不明です。ゼレンスキーの国会演説に賛成した政党と国会議員は、このゼレンスキー発言がプロパガンダでないことを証明する責任があります。プロパガンダであると判明した場合、ゼレンスキー非難決議を上げるべきです。

ゼレンスキーはミンスク合意(停戦協定)違反の当事者です。今回のロシアによる大規模侵攻の背景を作り出した責任の一端があります。このことを前提に、日本は火消し役にまわり、即時の停戦を外交で働きかける役割を果たすべきです。

ウクライナ危機:国連文書に記録されたドンバス内戦での人権侵害
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486112824.html
欧州安全保障協力機構の調査により、2017年1月1日〜2020年9月15日の間に、ウクライナのルガンスクとドネツクで民間人の犠牲者946人、うち死亡者161人が確認されています。
https://www.osce.org/files/f/documents/f/b/469734.pdf

太田光征
posted by 風の人 at 15:22 | Comment(0) | ウクライナ危機

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