2022年04月30日

平和主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏の目を通したウクライナ(ネオナチ、プロパガンダ、ロシア人憎悪全体主義、戦争犯罪調査など)

西側メディアが報じるウクライナ戦争は、ゼレンスキーを英雄視してロシア軍の蛮行ばかりをほぼ無検証で強調し、戦争継続へと誘導するものばかりです。こうした中、キーウ/キエフに在住するユーリー・シェリアジェンコ氏のような平和主義者の目を通したウクライナ解説が欠かせません。3月下旬なので少し古くなりますが、平和団体ワールド・ビヨンド・ウォーのローレン・シュタイナー氏によるシェリアジェンコ氏のインタビュー動画をご紹介します。

キーウ/キエフ在住のウクライナ人平和活動家との対話
Conversation with a Ukrainian Peace Activist in Kiev - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=SMsRI8RE0-c

シェリアジェンコ氏はロシアだけでなく、ウクライナおよび米国を含む全当事者を批判し、全当事者の戦争犯罪についてもあらゆる犯罪構成要素の証拠を調査する必要があると主張しています。西側メディアの一部がアゾフ大隊のホワイトウォッシュ(粉飾)を行っているとし、ナチスの政治体制を「実存的な敵の具体的な選択に関係なく、憎悪と実存的な敵の殺害という考え方を軸に人々を一体化すること」と規定した上で、「ゼレンスキーを中心にロシア人憎悪・殺害で結束する全体主義」(太田の表現)が存在することを指摘しています。

だからどう考えても、全当事者が反省する形での包括的な和平交渉しか、ドンバス内戦と今回の大規模侵攻を解決するための道はないのです。

【シェリアジェンコ氏の発言要旨】

・国境警備隊が特にアフリカやアジアからの学生をウクライナ軍兵士としてリクルートしている(ABCニュースなど)。
・友人の法律家の父(59歳)ががん手術のため出国許可を得ようとしたが許可されなかった。徴兵制は国際法で禁止すべき。
・この侵略は挑発なしで起こったのではない。ロシアには正当な安全保障上の懸念があり、この懸念は対処が可能なもので、これにより今回の侵略を防止できたかもしれない。(ホストの意見に同意する形で)
・プーチンは天使ではないが、ゼレンスキーも同様。誰も悪魔化したり無罪認定したりするべきではない。不正行為すべてを調査し、全当事者についての責任を主張すべき。
・ロシアの安全保障上の懸念、クリミアやドンバスをめぐるウクライナの支配権/統治権についての懸念、米国のルールに基づく国際秩序上の懸念はあまりにも覇権主義的であり、すべてを批判する必要がある。
・国家が安全保障上の懸念に基づいてレッドラインを引くのではなく、世界の人民が正気と常識のレッドラインを引くべき。
・(ゼレンスキーはユダヤ人であるとの指摘に関連して)ナチスとしての政治体制は、実存的な敵の具体的な選択に関係なく、憎悪と実存的な敵の殺害という考え方を軸に人々を一体化すること。ドンバス内戦ではロシア側にもネオナチがいた。
・西側メディアの一部はアゾフ大隊のホワイトウォッシュ(粉飾)を行っている(BBCがアゾフ大隊リーダーのビレツキーにあなたはナチかと質問。ビレツキーは、我々は国家主義者だ、それはすべてロシアのプロパガンダだと返答)。
・NATOはロシアが言うように危害のない防衛的同盟ではない。
・(ロシアにとってのウクライナの軍事的脅威について)ステパン・バンデラなどナチ時代のウクライナの国家主義者を支持し、周縁的だが非常に影響力のある勢力がこの国の政治にいる。
・バンデラを評価するという考え方、またウクライナの歴史が敵としてのロシアに対する永久の実存的な闘いとして振る舞ったのであるという説明は周縁的ではない。
(ホスト)ドンバス内戦における死者数は既に1万4000人に上る。
・ウクライナにおいて平和は降伏だとして広くけなされており、必ずしもすべてが敢えて平和を望んでいるとは認めない。
・ウクライナにおいて人々は一体のものであること、ゼレンスキーを中心に結束することが期待されている。その目的はロシア人を憎んで殺すこと。こうした政治的企てはロシアのプーチンも成功させている。
・ウクライナの人々は大部分を声高のプロパガンダから学び、プロパガンダがウクライナのEUおよびNATOへの加盟を促している。
・マリウポリ産科医院をめぐる真実については調査が必要。
・全当事者の戦争犯罪についてはあらゆる犯罪構成要素の証拠を調査する必要がある。
・OSCE(欧州安全保障協力機構)報告書から明らかに、両当事者がミンスク合意を破った。ロシアによるウクライナ侵攻は停戦違反のピーク時に発生。政府支配地域と非政府支配地域の双方で民間人の被害がある。
・善人対悪人という一面的な見方、私たちを英雄として無罪放免するという傾向は実に問題。
・過去1カ月間における戦争の痛みは10対1でロシアがウクライナに対して与えた痛みの方が、ウクライナが分離主義者らに与えた痛みより大きい(国連人権高等弁務官事務所のデータ)。
・米国が交渉テーブルにいないことは、米国がこの戦争を後押しし、和平交渉をしたくないことを意味している。
・ウクライナの政府と大衆の意見は、戦争屋メディアを通じ、米国タカ派によってコントロールされている。
・ウクライナは和平交渉したくない米国の意思を共有している。
・大国は暴力文化によって競争し、「覇権的支配権/統治権の間で合意を行わないという残酷な非人間的合意」により、核を発射しないかもしれない程度の損害で互いに対する限定的な殴り合いで利益を得ている。
・軍事的リアリズムは暴力文化のある種の内部矛盾を解決するに過ぎない。
・私にとってのリアリズムは夢を実現させるために計画してそれをあらゆる人々が行うこと、非暴力の技術を研究開発すること。
・ウクライナのプロパガンディストだけがプーチンはウクライナを解体しようとしていると主張。
・ウクライナの好戦的国家主義者にとってロシアとの戦争がなければウクライナではない。
・ウクライナの大衆がロシアとの戦争なしのウクライナを知ることに疑念。
・ゼレンスキーはプーチン同様、自身への批判すべてを封じ込めようとしている。
・ウクライナがロシアの権威主義を模倣している。
・ウクライナには基本的に左派の政治がない。
・恐怖に従って暮らす代わりに、希望に従って暮らすことを選択すべき。


【翻訳文字起こし全文】(「ホスト」表記以外の段落がシェリアジェンコ氏の発言。完全な文字起こしではなく、意味が重複している部分などを削除してある)

0:00(ホスト)こんにちは、ローレン・シュタイナーです。今日のゲストはユーリー・シェリアジェンコで、戦地のウクライナにあるキーウ/キエフからライブで参加してくれています。全体的に状況はどうですか。
招待いただきありがとうございます。ロシアによるミサイル攻撃を受けて、キーウでの状況はよくありません。遠くで爆発の音や警報が聞こえるのが日常です。自宅が揺れたりしますが、男性の16〜60歳は出国できないので家族とキーウにいます。ウクライナ政府には和平交渉と非暴力の解決策を、ロシア政府にはウクライナに対する違法な戦争を止めて和平交渉に入るよう求めます。米国政府にも和平交渉にかかわり、平和の達成に貢献するよう求めます。ウクライナの多くの人々は平和主義者に対して友好的ではありませんが、私たちは世界平和のために活動しています。
2:23(ホストによるユーリー・シェリアジェンコ氏の紹介):ウクライナ平和主義者運動事務局長、欧州良心的兵役拒否協会理事、私の友人で平和活動仲間のデビッド・スワンソンが設立したワールド・ビヨンド・ウォーの理事を務めており、調停・紛争管理学修士号を2021年に、また法律学修士号を2016年にクロック大学で取得しています。平和活動に加え、ジャーナリスト、ブロガー、人権擁護活動家、法律学者、学術論文の執筆者、法律理論および歴史学の講師という立場にもあります。そちらの生活について話してください。
4:11自宅で家族と暮らしています。電気、水、インターネット、パンなどの基本的食料、医薬品という基本的ニーズは満たせています。何時間も並ぶこともありますが、スーパーマーケットは営業しています。アパートは戦争の音でかき乱されていますが、キーウ中心部では生活できます。地下鉄やシェルターといった避難先があります。男性全員の徴兵制は21世紀において信じられない選択であり、多くの人々が参戦を望んでいないという現実を無視するものであり、政府に対して再考を求めたいと思います。
9:30アジアとアフリカの出身の学生は、ウクライナの女性や子どもが自分たちより出国の機会や丁寧な扱いを受けていると不満を口にしています。難民が避難する際の差別については多くのメディアからの報告があります。他国市民に参戦義務はありませんが、国境警備隊が他国の市民、特にアフリカやアジアからの学生をウクライナ軍兵士としてリクルートしています(ABCニュースなど)。男性でも適法に出国できる場合があります。18歳以下および60歳以上の場合や、軍当局から不適合などの理由で出国証明書をもらうことは可能ですが、友人の法律家の父(59歳)ががん手術のため出国許可を得ようとしたが許可されませんでした。5000〜7000ドルの賄賂で違法に男性を出国させる例が報告されています。最近、法執行当局は1万ドルの賄賂で出国させる腐敗制度を停止しました。偽の国外退去など複雑な仕組みがあります。
12:30(ホスト)私はあなたと同様に平和主義者で、25歳と28歳の息子がいます。息子たちが18歳になると兵役登録の通知書を受け取ることになるのですが、私は破り捨てました。起訴されないよう多くの調査を行ったところ、起訴されるのは兵役について政治的声明を公にした少数の者だけだと分かりました。私の企みは失敗に終わりました。というのは昨年、私がノースキャロライナに転居し、息子が運転免許証を取るために兵役に参加しなければならなかったからです。ただ息子は明日25歳になり、25歳以降は戦闘に行かせることができなくなります。私は平和主義者ですが、誰かが攻撃を受けているこの国に来て、玄関口に来て、家族が脅された場合、私はきっと応戦仕返すでしょう。このことについてどうお考えでしょうか。
13:40多くの非暴力の方法で自分の身を守ることができます。平和的話し合いは自己防衛の優れた方法です。この事実は暴力的な人々でも直感的に理解してもらえます。というのは自分が敵から銃を向けられるという立場に置かれた場合、ガウンを敵に向ければ、最終的に撃つ代わりに話し合いを始めます。これは例えば西部劇で目にすることができます。
非暴力の自己防衛は、敵を作ることを避け、敵意の関係に入るあらゆる誘惑を拒否する生活方法から始まります。これには愛に劣らない相互の同意が必要となります。暴力的な人々は私に、例えば薄暗い時分に歩いていて悪党に会ったらどうするのかと何回も尋ねるのですが、私が道路では善良な人にしか会わないと答えると、困惑するのです。私は誰とでも対話の用意があります。それはあなたの周りの人間が友だちなのか敵なのかなど多くの点であなたの選択と技量に依存しています。これは平和文化であり、私は常に実践して発展させています。
また、私は戦争抵抗者インターナショナルのビルトホーレン(聴き取り不正確)宣言に署名しています。この宣言では戦争が人間性に対する犯罪であると指摘しています。だから私はあらゆる種類の戦争を支援せず、戦争のあらゆる原因を取り除くために奮闘することを決意しました。これも平和文化の一環です。ウクライナの男性全員に出国を禁じて国民を総動員し、徴兵を行い、戦争動員をしやすくするすべてが暴力文化の一環です。これが今日の身動きが取れなくなっている戦争、すなわち西対東、ロシア対ウクライナの戦争の主たる原因となっています。
私たちは一貫性のある平和文化を世界で築き、平和を望むなら平和の準備をする必要があることを人々に理解してもらう必要があります。また非暴力の国際秩序をあらゆる方法で築かねばなりません。例えば、徴兵制は国際法で禁止すべきと考えます。徴兵に抗議して、女性の軍隊登録を導入するための試みが米国であった時、広範な抗議が起こり、この政策の継続を拒否しました。これは人々の素晴らしい成果であり、徴兵と軍隊登録はあらゆる形態を禁止すべきです。これらは古めかしいものであり、人権に反するからです。
16:52(ホスト)皮肉的な理由であなたの意見に反対したいと思います。ベトナム戦争を終わらせることができた理由の1つが召集にあります。多くのすべての男性が戦いに行かねばなりませんでしたが、今ではこの国で戦争に行くのは貧困層だけであり、多くの人々が自分やその子どもが戦争に行って死ぬ必要がないので、戦争に大変熱を上げているからです。
17:20(ホスト)この侵略は挑発なしで起こったのではないということを基本的に言うために番組を放送してきました。この侵略は道徳的、法的に許されないが、ロシアには正当な安全保障上の懸念があり、この懸念は対処が可能なもので、これにより今回の侵略を防止できたかもしれないのです。
意見に賛同します。これは挑発なしで起こったのではない。プーチンは天使ではないが、ゼレンスキーも同様。西対東、ウクライナ対ロシアというこの戦争において、誰も悪魔化したり無罪認定したりするべきではありません。不正行為とされるものすべてを調査し、正義を回復し、真実を語り、全当事者についての責任を主張すべきです。
地政学的な勢力範囲をめぐるこの大国の支配権は、米国の覇権主義的態度を真似ています。ウクライナもこの支配権/統治権のみを気にしています。この支配権/統治権は政府がその領土について望むことなら何でも実行する力のことです。ロシアの安全保障上の懸念は暴力文化の論理において理解可能なものです。
しかしこれは平和と非暴力の文化という枠組みに照らしての批判を免れません。同様にクリミアやドンバスをめぐるウクライナの支配権/統治権についての懸念も批判を免れません。さらには米国のルールに基づく国際秩序上の懸念も批判を免れません。私たちはこれら大国と支配権に関する懸念すべてを批判する必要があります。これらの懸念はあまりにも覇権主義的であり、私たちには、暴力文化に駆られた主体にとって快適な特定の覇権に取って代わり、平和文化に基づいた普遍的な協調が必要なのです。
国家は各自の安全保障上の懸念に基づいてレッドラインを引きますが、私はその代わりに正気と常識のレッドラインを引くことを提案します。すべての利害関係者は世界の人民にとってのレッドラインに留意すべきであり、福祉や人権、環境的調和を犠牲にして軍事化や軍備競争をすべきではありません。包摂的な多様性と公正な民主主義の発展のために国家主義と帝国主義には退場してもらい、あらゆる紛争は平和裏に解決すべきです。あらゆる構造的暴力の構築、特に戦争の準備や戦争の脅威について語るということは、許容できないものです。これは人々にとってのレッドラインであり、人々はこのレッドラインを支持するべきです。支配権が欲しい者たちはこのレッドラインを越えてしまいます。支配/統治の代わりに自治という考え方を主張すべきです。支配/統治は専制的な力であり、自治は道理に従う力だからです。私たちはこの愚かな支配/統治から理性的な自治に切り替えるべきです。
21:15(ホスト)昨年の選挙でネオナチのスボボダは2パーセントの得票だと理解しています。ゼレンスキーはユダヤ人だという事実があります。ネオナチのアゾフ大隊が歓迎され、広くウクライナ軍や保安警察に組み込まれました。ウクライナにおけるネオナチの存在、国家主義の特質、主として反ユダヤのドイツのナチズムとの違いについて話していただけますか。
22:10ナチスについては不気味なイメージがあります。ナチスがやろうとしたことの客観的で政治的な記述は、基本的に、ナチさらにはイタリア側の同盟であるファシストはあらゆる人々を1つの全体にまとめ上げ、少数派を絶滅させるものです。人々を1つの全体にまとめ上げるだけでなく、あらゆる人々を軍隊に組み入れ、何らかの種類の生活空間を征服させます。あらゆる人々の統合というだけでなく、敵が存在する所からの実存的脅威という恐怖の中で永続的に生活するのです。実存的な敵を創り出して生涯を通じてこれらと闘うべきだと。従ってこれは暴力文化を最大限に発現したものです。
ドイツのナチスの不道徳な兄弟であるイタリアのファシストはファセットのシンボルを使っていましたが、これは古代ローマ帝国の権力のシンボルであり、棒を束ね、中央に斧を付けたもので、棒は体罰に、斧は斬首に使用されました。このファセットはあらゆる人々を1つの全体にまとめ上げ、この原理に従わない人々を処罰する権力の象徴なのです。ところでこの古代の立派なシンボルは米国下院の演壇の両側にある彫刻のファセットにもあります。
アゾフ連隊やライトセクターは非常に公式かつ文字通りのナチシンボルを使用しており、初期に古いナチの教えの信奉者が多くいて、さらに人々をリクルートし、おそらく必ずしも全員が狂気の古いナチの教えやヴォルスファーレン(聴き取り不正確)のようなシンボルの意味を知っているわけではありません。
アゾフ大隊は政府軍および極右志願部隊が親ロシア分離主義部隊とドンバスで戦っていた時の名称であり、この志願大隊は改組されてウクライナ軍に正式にアゾフ連隊として編入されましたが、連隊は依然としてボリスファーレン(聴き取り不正確)のようなナチのシンボルを記章に使用しています。
ウクライナ側とロシア軍/親ロシア分離主義者との間の8年間にわたる戦争(訳注:ドンバス内戦)では、ロシア側にもネオナチがいました。例えば、バリアフ大隊(聴き取り不正確)とロシア・ナショナル・ユニティーです。一種の字面上のナチスになりたがっていた者は両側にいたのです。
しかし字面上のコピーが主たる問題なのではなく、ウクライナとロシアの政治が非常に古めかしく、この基本構造、ナチ政治をコピーしていることにあります。このナチ政治では、あらゆる人々を1人のリーダーを中心に統合して、人々の使命を実存的脅威と闘うことだと見なし、あらゆる人々の人生の目的を勝利と見なすものです。これがナチの意味するところです。ユダヤ人を殺さないかもしれませんが、実存的な敵は誰であっても構いません。現実のものでも非現実のものでもいいし、必ずしもユダヤ人や共産主義者や背教者であるとは限りません。実存的な敵の具体的な選択(訳注:ユダヤ人など)によってナチスのような古めかしい政治形態を取ることになるのではなく、何が実際にナチスとしての政治体制を取らせるかといえば、憎悪と実存的な敵の殺害という考え方を軸に人々を一体化することなのです。
31:10西側メディアの一部はアゾフ大隊のホワイトウォッシュ(粉飾)を行っています。最近ではBBCの記者がアゾフ大隊のリーダーであるビレツキー(訳注:公式には軍事部門を離れたことになっている)を訪ねて、あなたはナチかと質問しました。ビレツキーは、我々は国家主義者だ、それはすべてロシアのプロパガンダだと答えています。ウクライナの軍事的脅威がロシアに及ぶというプーチンの考え、ウクライナがナチに支配されているというプーチンの考えですが、NATOはロシアが言うように危害のない防衛的同盟ではなく、ロシアをウクライナにおける公的・政治的分野から排除するものであり、ステパン・バンデラなどナチ時代のウクライナの国家主義者を支持し、周縁的だが非常に影響力のある勢力がこの国の政治にいるからです。
バンデラになりたがっている一部の者たちは周縁的かもしれないが、バンデラを評価するという一般的な考え方、またウクライナの歴史が敵としてのロシアに対する永久の実存的な闘いとして振る舞ったのであるという説明は周縁的ではありません。
33:50(ホスト)私たちは2014年のクーデターを米国が煽動したことについて話しました。当時、民主的に選ばれたヴィクトル・ヤヌコーヴィッチはロシアから提案され、EUの提案よりもマシだった取引に応じようとしていました。EUの提案はネオリベラルの要素が多くあったからで、クーデター後に最終的にその提案を呑まざるを得ませんでしたが。米国はネオナチによって支えられていたこの体制を支援しました。そうしてドンバスでの戦いが始まったのです。死者数は既に1万4000人に上っています。ゼレンスキーは腐敗対策をすることとされましたが、パンドラ文書によれば、多くの資産を抱え、海外口座にしまい込んでいます。ウクライナの人々がロシアとEUのどちら側に立っているのか、ゼレンスキーのことをどう考えているのか。
35:09正気の人間は平和を望むが、ウクライナにおいて平和は降伏だとして広くけなされており、必ずしもすべてが敢えて平和を望んでいるとは認めません。平和を積極的に打ち出した表現に対する軍事的反応は軍国主義者の政治的企ての結果としてのごまかしの態度でもあります。人々は教育から、大部分は声高のプロパガンダから学びます。人々は基本的なこと、例えば世論調査に対する影響などについて、多くのことをまったく知りません。ウクライナにおいて人々は一体のものであること、ゼレンスキーを中心に結束することが期待されています。その目的はロシア人を憎んで殺すことです。この政治的企ては不幸にも成功しています。これはロシアでも同様で、プーチンの政治的企ても、ヒトラーもムッソリーニもそうなのです。
Rating(レーティング)グループが実施した世論調査によれば、93%がゼレンスキーを支持してウクライナがこの戦争に勝つと信じている、興味深いことにゼレンスキーとプーチンの間の和平交渉を支持しているのは74%だが、89%はロシア軍がウクライナ領土から去らない限り停戦は受け入れない、45%は戦争の激化を懸念、38%は燃料不足の状態にある、13%が飢えている、86%がウクライナのEUへの加盟を支持、76%がNATO加盟を支持、98%がロシアを敵と見なしています。これは社会学者による電話世論調査です。Rating グループはウクライナでは著名であり、信頼できる機関です。
39:58(ホスト)米国では、既にロシア国内ではほとんど製造されなくなったウオッカが禁止され、ロシアのスポーツ選手やアーティストが拒否され、ミラノの大学ではドストエフスキー講座が廃止されたと記事で読みました。ドストエフスキーは基本的に禁制本を読んだとして投獄されたので大変な皮肉ですが。殺され、怪我を負わされ、家を追われたウクライナ人に同情しますが、これらの被害者に対するのと同程度の同情は例えばイエメン、ソマリア、ガザ、アフガニスタンの戦争被害者には向けられていません。これらの被害者は肌の色が黒と茶で私らと見かけが違うからであり、戦争をしかけている国に米国が資金や武器を供給しているからです。ご意見をお聞かせください。
プロパガンダがウクライナのEUおよびNATOへの加盟を促しています。ウクライナとアフリカおよびアジアの人々の待遇をめぐる違いはやや人種差別主義的です。古めかしい暴力文化は常に人種的優越性などの考え方を含むものであり、人種差別についてここで語ることには意味があります。
42:01風刺週刊誌「シャーリー・エブド」に、純粋な人種差別の一環として、石油価格の上昇がウクライナ人を正すとする風刺画がありました。これは欧州の一般的なキリスト教を信仰し、同様の労働倫理を持ち、安上がりだが有能な労働力などを期待するものです。
自分たちとあいつら、いい奴と悪い奴という単純な描き方をするメディアについてあなたが語ったのはおそらく、調査もせずにロシアが戦争犯罪を行ったとメディアが主張していることでしょうか。
42:56(ホスト)ロシアが産科医院を爆撃したとされることをめぐる大騒ぎがありましたが、ロシアはアゾフ大隊が妊婦を追い出して攻撃拠点としていたので、もはや産科医院でなくなったと主張しました。出回ったソーシャルメディアの中の女性は横たわって担架で運ばれ、階段を降りて、病院の外で立っていたのは同じ女性でした。ロシア軍が拠点と軍装備を奪取するためと、ロシアのタス通信が伝えていました。そこで北部、南部、西部に行った後、東部に移ると語りました。
なぜロシア軍が民間人を標的にしていないと語っているかといえばおそらく、良いイメージを作り出そうと嘘をついているか、民間人を標的にする計画について知らなかった、軍の犯罪から男すべてを除外するという可能性を創り出すためかかもしれません(訳注:意味の判別困難)。民間人の不要な犠牲者を出さないというのが本物の方針かもしれず、国際人道法が求めていることは、基本的に民間人の不要な犠牲を防ぐことです。おそらくそうした意図は政治的リーダーシップや軍事的リーダーシップにあるかもしれず、マリウポリ産科医院の状況をめぐる真実を明らかにするには調査が必要です。
英国のボリス・ジョンソン首相のYouTube動画を見て驚きました。ジョンソン首相は子どもを相手に、既に国際刑事裁判所がプーチンを起訴して戦争犯罪の判決を下したと説明しました。国際刑事裁判所によればプーチンがやっていることは大量虐殺であり、プーチンは戦犯であると語ったのです。これは事実ではなく、嘘です。私は「ボリス・ジョンソンのように嘘をつくな」というタイトルのYouTube動画*をアップしました。

*Don't lie like Boris Johnson - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=qTLmd5og0U0

全当事者の戦争犯罪を語る場合には、あらゆる犯罪構成要素、すなわち犯罪の行為、意図、同時性、原因、被害、居合わせたことの状況証拠を調査すべきです。OSCE報告書から明らかに、両当事者がミンスク合意を破ったのであり、従って客観的な調査によって全当事者の悪行が明らかとなるでしょう。ロシアがウクライナを違法に侵略したのは停戦違反のピーク時に発生しました。政府支配地域と非政府支配地域の双方で民間人の被害が報告されています。こうした善人対悪人という一面的な見方、私たちを英雄として無罪放免するという傾向は実に問題です。勝利者がすべての責任を敵になすりつける戦争において起こっていることなのです。今、全当事者が自身を勝利者と見なしているので、敵を責めて、交渉を拒否します。でも客観的な物事について語る場合、ロシアによる侵略に至る前の状況は侵略後に徹底的に調査すべきです。
当然、ロシアがウクライナに及ぼしている苦痛は、ウクライナが分離主義者地域に対して計画し続けている苦痛よりも大きくなっています。比率は10対1であり、客観的な方法でこれを評価することができます。国連人権高等弁務官事務所のデータによれば、ロシアによる残酷なウクライナ侵攻の期間中、民間人犠牲者は2788人、うち1081人が殺害されています。数字はもっと高い可能性があります。データは3つの情報源で裏付けられているので信頼性があります。283人の犠牲者が非政府支配地域において発生しており、うち59人が殺害されています。ウクライナ国境を越えた国外避難民は370万人おり、27万1000人はロシアに避難しました。いずれも場合も、過去1カ月間における戦争の痛みは10対1でロシアがウクライナに対して与えた痛みの方が、ウクライナが分離主義者らに与えた痛みより大きくなっています。
51:50(ホスト)プーチンは生物化学兵器を使うのか。核兵器の使用でウクライナはシリアやアフガニスタンのようになるのではないか、それ以上に悪化するのではないかと懸念しています。ニューヨークタイムズの記事に小型核の話がありましたが恐ろしいことです。現実的な解決策は何だとお考えですか。平和を望むならバイデンはプーチンとゼレンスキーの交渉を設定すべきです。バイデンがロシアには体制変換が必要で、プーチンを排除すべきだと語ったことに驚きました。バイデンはそのような意味ではないと後で語りましたが、それは非常に不誠実です。現時点で両側が現実的に合意できることは何か、あるいは事態が悪化するとお考えですか。
54:00核兵器の恐怖とロシアによる欧州侵略は一部の人々にとって利益をもたらしています。ボーイングとロッキードマーティンは核兵器やミサイルなどの部品を生産しています。これらの株価は証券市場で上昇しています。米国防長官のロイド・オースティンが取締役を務めていたレイセオンはウクライナに武器を供給していますが、その株価も上がっています。
プーチンが欧州を侵略したと説くことは、欧州を徹底的に武装化して儲けるための方便でもあります。西と東の敵意を煽る代わりに、メディアは普遍的な平和を実現し、平和文化を発展させ、非暴力の世界統治を達成するための現実的な手段、この地球で平和を達成するための手段となり得るものです。
米国が交渉テーブルにいないことは、米国がこの戦争を後押しし、和平交渉をしたくないことを意味しています。ウクライナの政府と大衆の意見は多くの影響力あるメディアや統一的な戦争屋メディアを通じ、米国タカ派によってコントロールされています。ウクライナは和平交渉したくない米国の意思を共有しています。
私はリアリズムが大国の軍事バランスを受け入れるという類いのものだとは考えておらず、私にとってのリアリズムは自分たちの夢を自分たちの懸命の努力で実現させる方法を構想することです。軍国主義者は軍事的勝利もしくは体制転換または領土的譲歩で平和を確立するのがリアリズムだと主張します。私が地政学的同盟における譲歩という考え方を拒否する理由は、それは平和をもたらすのではなく、暴力文化のある種の内部矛盾を解決するに過ぎないからです。
私にとってのリアリズムが依拠する考え方は、平和主義者が平和文化と非暴力を人々に教え、平和的な生き方をメディアで報告し、既に私たちが多くを達成したように人々にとっての非暴力の光の技術を研究開発するというものです。この平和文化のリアリズムは最終的に非暴力の世界統治のための強力な制度を開拓することになるでしょう。私たちは軍隊や国境がない地球に暮らすことになります。これはウクライナ、ドンバス、クリミアが米国、中国、さらにはロシアと共に一体のものとなる世界です。覇権の代わりに調和を築き、大国が東と西に分かれるのではなく、真理と愛を。
58:39(ホスト)それは私の子どもに話したいほど素晴らしいおとぎ話のようですね。残念ながら私は人間性について、あなたほど楽観的ではありません。ジョン・ロックの性善説やトマス・ホッブズの性悪説について勉強したことを思い出しました。
59:30(ホスト)シカゴ大学のジョン・ミアシャイマーはかつて、米国がウクライナをNATOに加盟させれば戦争は不可避であると述べました。彼は米国がモンロー主義を取っているようだと言っていました。米国はロシアのあらゆる軍事施設を西半球に置かせないと。実際、核ミサイルのキューバ危機があった時、ケネディーとフルシチョフは平和裏に解決することができました。私たちがロシアを愚弄し続けてその基地をそこに置かせるよう仕向けるならば、カーネギー平和研究所や「責任ある国政術のためのクインシー研究所」からの話として聞いてきたように、ロシアにクリミアを与える、それをロシアの一部と認めるという類いの譲歩、これら2つの分離主義者地域に恒久的独立を与え、ウクライナがNATOに加盟しないことを憲法に明記すると。もしかしたらこうした類いの交換条件で問題が解決するかもしれない。でもバイデンは昨日、その実現をさらに一層難しくしてしまいました。
(ホスト)現時点でプーチンの動機が分かりません。それは侵略が一切合切、非倫理的で違法で犯罪的であるだけでなく、プーチンの観点からして馬鹿げているからです。というのもそれは結局、欧州中を反プーチンで結束させたからです。エコノミストのマイケル・ハドソンは素晴らしい論文の中で、我々はドイツを3回ににわたり負かしたと書きました。ドイツ、フランス、その他幾つかの欧州諸国がロシアや中国と近づきになろうとした。これら諸国は石油の30パーセントをロシアから調達していて、ガスの40パーセントをノルドストリーム2から、さらに80パーセントを調達しようとしていた。もちろんそれはオバマがフラッキング採掘法を4倍に増やし、LNG輸出サービスを増やしたために実現しなかったわけですが。この戦争からしこたま儲けているのは武器製造企業だけでなく化石燃料企業もなのです。この国はDrill, baby, dril(訳注:石油・ガスの掘削を増やす共和党のキャンペーン)の時代に戻ろうとしています。それはIPCC報告書が出て、もう時間がないと言われた時期ですが、さらに化石燃料を掘削することについて語るのは正気ではない。お金の動きを追っていると、これら大産業の多くがたくさん儲けており、2つの実存的な脅威、すなわち核による絶滅と気候危機のことが大変心配です。
1:02:37あなたの言っていることは多くの点で暴力文化の論理として正しく、ジョン・ミアシャイマーは暴力文化の論理を語る場合の偉大なリアリストであり、プーチンの動機についてよく説明しています。この種の暴力をめぐるリアリズムはもちろん、平和主義的リアリズムではありません。私にとってのリアリズムはお話したように、夢を実現させるために計画すること、それをあらゆる人々が行うことですが、暴力文化の首尾一貫した典型は暴力文化がもたらす大国間の競争であり、覇権的支配権/統治権の間で合意を行わないというこの残酷な非人間的合意により、核を発射しないかもしれない程度の損害で互いに対する限定的な殴り合いで利益を得ています。
戦争遂行の動機は暴力文化の種類によって異なります。西側の場合はおそらく死の商人にとっての利益であり、東側の場合は独裁者および軍事的孤立主義者の力の増大でしょう。西側には独裁企業がいて、軍国主義の企業と孤立主義者が主流政治にいます。東側にも腐敗した方法で利益を上げる者がいます。そのため多くの形態をとる暴力文化はその発現において客観的に普遍的であり、平和文化そしてもちろん平和主義者はこの古めかしい暴力文化を進歩的な平和文化へと転換すべく努力しています。
プーチンおよびプーチンの狂気の合理性に関しては、プーチンは自身の流儀では合理的ですが、心は暴力文化で毒され、軍事的戦略の誘惑によって堕落しています。プーチンはウクライナを征服するつもりはないと言っていますが、おそらくそうでしょう。ウクライナのプロパガンディストだけがプーチンはウクライナを解体しようとしていると主張しています。そうではなく、その背後にある考え方は、プーチンがロシアに対してより敵対的でない別のウクライナを推し進めているというものです。
もちろん、ウクライナの好戦的国家主義者にとって、ロシアとの戦争がなければウクライナではありません。これはプーチンにとって受け付けられないことです。だから私は大衆がロシアとの戦争なしのウクライナを知ることになるという考え方をすることに疑念があります。
もしも人々が違う考え方を知り、それについて議論することが許されるなら、私が言ったように、ゼレンスキーは領土の指導者であり、プーチンがやったように自身に対する批判すべてを封じ込めることを図っています。プーチンはもちろん、多くの点で権威主義的です。おそらくプーチンのロシアでは私があなたに話す機会はなかったでしょう。私のロシアの友人は海外工作員のように責められるでしょうから。ナワリヌイが長期にわたり刑務所に入れられ、ネムツォフのように殺されますから。
しかし私は、ロシアとウクライナの間でこの紛争が激化していた昨年、ウクライナが多くの点でロシアの権威主義を模倣するという危険な傾向を認めました。互いの悪い振る舞いを真似し始めたのです。私はウクライナがロシアの権威主義に固執しないよう望みます。ウクライナでは親ロシアメディアが制裁を受けており、親ロシア政治家の起訴を始めています。最近、ウクライナ安全保障会議は親ロシアの主流政党を永久禁止する決定を下しました。
1:07:55(ホスト)ゼレンスキーは親ロシアの国会議員を追放し、反逆罪で投獄したと聞きました。その後、10の左派系メディアサイトを閉鎖しましたが、私が読んだ記事によれば、それらメディアは実際のところ、私たちが考えるような左派ではありませんでした。
ジャーナリストとして、入手した情報すべてをチェックする必要があります。ウクライナにおける政治弾圧について語る場合、親ロシアの人物に対する弾圧が実際にあります。しかし、平和主義者や左派の人権擁護活動家、周縁的な政治家は、ウクライナおよびロシアの主流政治において敵に対する結束が一般的であり、基本的に左派の政治ではありません。左派の政治は外国人と戦うことよりも人々のことをもっと思いやるものです。一部の人々はスターリニズムを左翼のようなものと誤解しているかもしれません。もちろんスターリニズムは超右翼の政治です。
1:09:44(ホスト)私はリベラルと進歩主義者を区別してきました。ロシアゲートをMSNBCで煽り立てたレイチェル・マドーは今、飛行禁止区域の設定を主張していますが、これが第三次世界大戦を引き起こすことを理解していません。バーニー・サンダースを支持している私の進歩的な友人の何人かは、同じ観点で話しており、私は怖く感じています。番組の最後に、自分のことを進歩的と見なす人々に対する助言として、これらの人々が米国メディアで何を見ているか、ウクライナで何が起こっていると考えるべきか、何を呼び掛けてもらいたいと考えていますか。
1:10:47基本的な真理として、戦争は悪であり、平和は善であるということです。あらゆる人々が平和の権利を持っています。話し合うことが撃ち合うことより常に良いことなのです。ウクライナの市民社会における戦争屋の典型は、和平交渉を呼び掛けるべきではない、人道支援に集中すべきではないと語ります。絶対的に必要なのはロシア人を殺すための大量の武器だからというのが理由です。
あなたにとって世界の基本的構想は何かを思い起こしてください。永久戦争としての将来を想像するのか。NATOのさらなる関与を求めて西と東の戦争を激化させる要求をすることもできます。ロシアだけでなく中国を敵としながら。オーウェルの有名な小説1984年で記述されたディストピアでは3つの大国が常に互いに戦い、多くの人々を殺し、多くの損害と苦痛を与えました。しかし、人々は静かにこれらの国々で力を持ち、喜んで際限のない戦争を継続しました。こんな世界を望むのか、恐怖に従って暮らす必要があるのか、恐怖を増大させる必要があるのか、リアリズムとは恐怖に従って暮らし、内部と外部の実存的な敵と戦うことだと人々に提案するのか。
これは良い未来像ではありません。恐怖に従って暮らす代わりに、希望に従って暮らすことを選択すべきです。これが現実的なことであり、リアリズムとは非暴力統治の知識と技術、統治における暴力レベルを最小化するための社会制度を発展させ、暴力を漸進的にゼロへと最小化していくことなのです。暴力と地球温暖化は低減させるべきものです。暴力のレベルをゼロに低減させることは、私たちが現実的に実現させることができ、実現させるべき最善の考え方です。
1:15:00(ホスト)番組を閉じなければなりませんが、私はあなたの構想をとても気に入っているし、本当に私の生涯においていつか実現することを願っています。それが無理なら私の息子たちの生涯で。そうしないと、私たちすべてにとって先がないから。本当にありがとうと言いたいし、そちらであなたが無事であってほしいと思っています。(シェリアジェンコ:ありがとうございます。)あなたにとって大事な人々と世界中の人々にとっての安全と平和を願っています。私はこの番組を止めるつもりはありません。いつも隠喩的な意味で言っているように、平和のために戦い続けます。(シェリアジェンコ:話し続けると言ったらどうですか。愛し続けましょう。)もちろん平和のために戦うというのは矛盾した表現のようなものだと理解しています。私はいまだ皮肉的な意味でフェイスブック監獄にいて、投稿できずにいますが、皆さんにはこの番組を各自のページやツイッター、所属しているグループでシェアしてほしいと思います。本当にありがとうございます、ユーリー、皆さん。


太田光征
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2022年04月28日

戦争の永続化に反対するウクライナ平和主義者運動の声明

ユーリー・シェリアジェンコ氏らが設立したウクライナ平和主義者運動が戦争の「永続化」に反対する声明を発表しましたので、ご紹介します。

声明では、ロシアによるウクライナへの大規模侵攻を当然にも非難している一方で、双方によるドンバス内戦のミンスク合意(停戦協定)違反、双方によるレッテル貼り、双方による民間人への兵役強制、ロシアとNATO諸国によるウクライナ過激派への武器供給を批判しています。「いかなる種類の戦争をも支持せず、戦争のすべての原因を取り除く」決意をしているからです。また当然、戦争犯罪の責任については、公平かつ中立な捜査と法の適正手続きによって確立されなければならないと主張しています。

ウクライナ東部におけるドンバス内戦が頭の中にある人なら誰でも、今回の大規模侵攻の有無に関係なく、戦争の「永続化」を懸念するはずです。声明の表題にこの言葉があるのは当然というべきでしょう。

【原文】

戦争の永続化に反対するウクライナ平和主義者運動の声明
Statement of the Ukrainian Pacifist Movement Against Perpetuation of War - World Beyond War . . .
https://worldbeyondwar.org/statement-of-the-ukrainian-pacifist-movement-against-perpetuation-of-war/

【翻訳全文】

戦争の永続化に反対するウクライナ平和主義者運動の声明
ヨーロッパ
2022年4月17日、ウクライナ平和主義者運動

ウクライナ平和主義者運動は、ロシアとウクライナの間における紛争の平和的解決のための橋が双方で激しく焼かれ、何らかの支配的/主権的野心を達成するために流血を続ける意図が示されていることを深く懸念する。

私たちは、ロシアが2022年2月24日にウクライナに侵攻するとした決定により、致命的なエスカレーションと数千人の死者をもたらしたことを非難するとともに、ロシアによる侵略のエスカレーションに先立ってドンバスでロシアとウクライナの戦闘員がミンスク合意で規定された停戦を相互に侵害したことを改めて非難する。

私たちは、紛争当事者の双方がナチスのような敵や戦争犯罪者というレッテルを貼り、それを法律に押し込め、妥協できない極度の敵意を含む公式プロパガンダによって強化したことを非難する。私たちは、法律は戦争を煽るものではなく、平和を築くものであり、歴史は戦争を続けるための言い訳ではなく、人々がいかにして平和な生活に戻ることができるかを私たちに示す例となるべきものであると考えている。私たちは、犯罪に対する説明責任は、特に大量虐殺などの最も重大な犯罪において、独立した有能な司法機関によって、公平かつ中立な捜査の結果、法の適正手続きによって確立されなければならないと主張する。私たちは、軍事的残虐行為の悲劇的な結果が、憎悪を煽り新たな残虐行為を正当化するために利用されてはならないことを強調する。逆にそのような悲劇は、闘志を冷まし、最も流血の少ない方法で戦争を終わらせる方法を粘り強く模索するよう促すものでなければならない。

私たちは、双方の軍事行動や民間人に危害を加える敵対行為を非難する。私たちは、すべての銃撃を停止し、すべての側が殺された人々を追悼し、当然の悲しみの後に、冷静かつ誠実に本気の和平交渉に取り組むべきであると主張する。

私たちは、特定の目標を交渉によって達成できない場合にそれら目標を軍事的手段によって達成するとの意図を示したロシア側の発言を非難する。

私たちは、和平交渉の継続は戦場において交渉上の最良の立場を勝ち取ることにかかっているというウクライナ側の発言を非難する。

私たちは、和平交渉中の停戦に対する両陣営の消極性を非難する。

私たちは、ロシアとウクライナの平和な人々の意思に反して、民間人に兵役、軍事任務の遂行、軍への支援を強制する慣行を非難する。私たちは、このような慣行は、特に敵対行為中に、国際人道法における軍人と民間人の区別の原則に著しく違反するものであると主張する。良心的兵役拒否という人権に対するいかなる形態の侮蔑も容認することはできない。

ロシアとNATO諸国がウクライナの過激派に提供するあらゆる軍事支援は軍事紛争をさらにエスカレートさせるものであり、私たちはこれを非難する。

私たちは、ウクライナと世界中の平和を愛するすべての人々に、いかなる状況においても平和を愛する人々であり続け、他の人々が平和を愛する人々となるのを助け、平和で非暴力的な生き方に関する知識を集めて広め、平和を愛する人々を結び付けるための真実を伝え、暴力なしで悪と不正に抵抗し、必要かつ有益で不可避にして正当な戦争があるとする神話を覆していくよう呼び掛ける。私たちは、平和の計画が軍国主義者の憎悪や攻撃の対象とならないよう、現時点で何らかの特別な行動を起こすことは求めない。しかし、世界中の平和主義者が、その最高の夢を実際に実現するための良き想像力と経験を持っていることを確信する。私たちの行動は、恐怖心ではなく、平和で幸せな未来への希望によって導かれるべきである。私たちの平和活動によって、未来を夢から近づけよう。

戦争は人類に対する犯罪である。従って、私たちは、いかなる種類の戦争をも支持せず、戦争のすべての原因を取り除くために奮闘することを決意する。

#

ウクライナの平和主義者らは、4月17日にこの声明を採択した。会議では、オンラインとオフラインでの反戦活動、良心的兵役拒否の提唱活動、平和主義者と平和を愛する市民のための法的支援、慈善活動、他のNGOとの協力、平和的・非暴力的生活の理論と実践に関する教育と研究について、作業計画を話し合った。ルスラン・コツァバは、今日の平和主義者は圧力を受けているが、平和運動は生き残り、前進しなければならないと述べた。ユーリー・シェリアジェンコは、私たちの周りで厄介な戦争が長引くことにより、平和主義者は真実を語り、透明性と寛容性を持ち、敵を持たないことを主張し、特に情報・教育・人権保護の分野で長期的な活動に傾注することが求められていることを強調した。彼はまた、良心的兵役拒否という人権に対する侵害を隠蔽したとして国家国境警備隊に対して起こされた正式な訴訟について報告した。イリヤ・オヴチャレンコは、ウクライナとロシアの人々が自分の人生の意味は敵を殺すことや兵役とは何の関係もないことに気づくための手助けになる教育活動に期待を表明し、マハトマ・ガンジーやレオ・トルストイの幾つかの本を読むことを薦めた。
2022年4月17日、ウクライナ平和主義者運動のオンラインミーティング
録画:https://youtu.be/11p5CdEDqwQ


太田光征
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2022年04月23日

【嘆願署名】イスラエル警察が礼拝中のパレスチナの礼拝者を襲撃。暴力は止めなければならない!

【動画】
植民地的暴力が常態化:イスラエルがアル=アクサー・モスクを襲撃、160人以上を負傷させ、数百人を逮捕
“Colonial Violence Is the Norm”: Israel Raids Al-Aqsa Mosque, Injuring 160+, Arresting Hundreds - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=mfjX4iOU2bY

【動画】
アル=アクサー・モスクにドローンから催涙弾を打ち付ける
https://twitter.com/husseiniibrahim/status/1517473931497721862

【動画】
銃口を向けながらアル=アクサー・モスクへのアクセスを妨害するイスラエル占領軍を非武装で押し返すパレスチナ人
https://twitter.com/OnlinePalEng/status/1517504078544347137

【動画】
イスラエルがガザを空爆
https://twitter.com/RmanEng98/status/1516916299674406914

【動画】
ANNが歪曲報道:イスラエルによるパレスチナに対する非対称的な攻撃を伝えない
イスラエル軍がガザ空爆 ロケット弾発射への報復(2022年4月20日) - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=bLfCjFhhy_g

【嘆願署名】イスラエル警察が礼拝中のパレスチナの礼拝者を襲撃。暴力は止めなければならない!
petition: Israeli Police Attacked Palestinian Worshippers While They Were Praying. The Violence Must End!
https://www.thepetitionsite.com/162/641/730

最近の攻撃で、イスラエルの機動隊は、ラマダンの聖なる月の朝の礼拝に集まっていた少なくとも152人のパレスチナ人を負傷させました。ネットに流れたビデオ*には、イスラエル警察が、パレスチナ人礼拝者にゴム弾、催涙弾、スタングレネードを発射し、礼拝者が石や花火で反撃する様子が映っています。攻撃は、イスラム教の信仰で最も神聖な構造物の一つであるアル=アクサー・モスクで数千人が祈りのために集まっていたときに起こりました。


https://www.nytimes.com/video/world/middleeast/100000008307461/al-aqsa-mosque-jerusalem.html?playlistId=video/europe

国連やアムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチなど多くの有力人権団体は、パレスチナ人がアパルトヘイトに等しいイスラエルの圧制システムの下で生活していることを認めています。イスラエル政府にパレスチナ人への攻撃を止めるよう求める嘆願書に署名してください。

この攻撃は、パレスチナとイスラエルの間の暴力がエスカレートしている時に起こりました。パレスチナ人による4回の攻撃で14人が死亡した後、イスラエルは逮捕と軍事力をたたみかけて応じました。その結果、非武装の女性や人権派弁護士を含め、少なくとも25人のパレスチナ人が殺害されました。イスラエルで起きた4件の襲撃事件は、個人的に、あるいは最小限の支援で行動しているように見えます。なぜ、礼拝者がこれら単独のガンマンの犯罪の代償を払わなければならないのか?

パレスチナとイスラエルに関する意見は大きな緊張を引き起こす可能性がありますが、歴史的な背景を押さえることが重要です。パレスチナ人は55年近くにわたる軍事占領下にあり、終結の兆しはありません。アムネスティ・インターナショナルによれば、「イスラエル当局は、パレスチナ人を、ユダヤ人ではなくアラブ人であることによって規定される劣等人種集団として扱っている。この人種差別は、イスラエル全土のパレスチナ人に影響を与える法律で固められている」。イスラエルの占領下、パレスチナ人は家族から引き離され、救命医療を拒否され、さらには土地、家、生計手段を奪われています。この抑圧を終わらせなければなりません。イスラエル政府に対し、パレスチナ人への攻撃を止め、パレスチナ人が平和に祈ることができるようにするため、署名してください。


太田光征
posted by 風の人 at 14:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | パレスチナ

2022年04月22日

ウクライナのすさまじい軍国主義と反戦運動弾圧:ウクライナの政治家・左翼数百人が誘拐・拘束され行方不明か

ウクライナのすさまじい軍国主義と反戦運動弾圧について、私も何度か紹介しているウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏らが、米ニュースサイトToward Freedomの記事の中で説明しています。シェリアジェンコ氏らが語るウクライナの内情は、ウクライナ政府を無条件に支援し、ロシア軍を軍事的に叩く活動に専念すればいいのだという考え方が間違っていることを示すものです。

2014年のユーロマイダン革命以降、ウクライナ側もすさまじい軍国主義で親ロシア勢力とドンバス内戦を戦ってきました。今回のプーチンによるウクライナへの大規模侵攻は、ドンバス内戦の拡大版です。

ウクライナ反戦運動がゼレンスキーによるドンバス内戦の応援になってはいけません。国際社会がこぞって両側に反省を求める和平交渉に持ち込むしかないのです。

【原文】
独占:ウクライナの兵役拒否者たち、なぜ多くがウクライナのために戦わないのかを語る
Exclusive: Ukrainian Refuseniks On Why Many Won't Fight for Ukraine - Toward Freedom
2022年4月12日
https://towardfreedom.org/story/archives/europe/exclusive-ukrainian-refuseniks-on-why-many-wont-fight-for-ukraine/

【要旨】
・2015年、ドンバス地域における戦争動員に対して集団ボイコットを呼びかけたウクライナ人ジャーナリストで良心的兵役拒否者のルスラン・コツァバは有罪判決を受け、1年以上の拘禁刑を受けた。
・2015年、ウクライナでは共産党が「分離主義」を推進したという理由で非合法化された。今年3月22日、ゼレンスキーは主に左派の野党11党を禁止した。
・ウクライナでは軍・NATO・政府に反対する者は「親露派」のレッテルを貼られる。意見が異なれば、左翼からもロシアのスパイだと密告される。国民のほとんどが国家主義者と手を組んでいる。(ウクライナ・マルクス主義のグループに所属するパベル(仮名))。
・戦前の兵役逃れの罰則は最高で3年の禁固刑だったが、2月24日から罰則が無期限に延びた(ユーリー・シェリアジェンコ)。
・4月10日の時点で、ウクライナ国境警備隊は、国外に脱出しようとする「戦闘年齢」の男性をおよそ2200人拘束。
・2019年、ウクライナでは、交通違反などささいな違反行為で若者が軍召集をかけられたり、兵役にさらわれたりするようになった。このような召喚に応じないと拘束される(ユーリー・シェリアジェンコ)。

ウクライナの超国粋主義的な子ども向け軍事サマーキャンプ
Ukraine's Hyper-Nationalist Military Summer Camp for Kids | NBC Left Field - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CpV16BQfbrQ

・ウクライナでは聖職者や宗教団体であっても良心的兵役拒否者は免除されない。LGBTが出国しようとすると国境で、軍隊の中で虐待される(ユーリー・シェリアジェンコ)。
・「我が国は実存的な敵を作り出し、今やすべての国民が一つの国民性と指導者の下に団結すべきであると言っているのです。この国は概して大きく右傾化しています。もちろんネオナチもいます。しかし、その場合、これらの多くは『ネオナチ』ではなく、『国の防衛者』として認識されているのです」(ユーリー・シェリアジェンコ)。
・OSCEウクライナ特別監視団のドンバスでのカメラ記録によれば、特に2月24日までの数日間、ほぼ毎日、最初の攻撃は政府支配下、つまりウクライナ軍領域から記録されている。
・左翼や政治家ら数百人が誘拐・拘束され行方不明に(2015年に共産党とともに禁止されたウクライナの革命的組合「ボロツバ」の自称共産主義者で反ファシストのアレクセイ・アルブ。反マイダン運動の代表。オデッサの悲劇の当事者)


【本文】

ロシアが2月24日にウクライナで「特別作戦」と称する作戦を開始して以来、企業メディアはウクライナ国民がロシア軍の攻勢に団結して抵抗していると報じている。民間人がさまざまな非軍事的支援活動に志願しているとの報道は別として、ウクライナのウォロドミル・ゼレンスキー大統領をはじめとする国家当局者は、民間人に武器を取るように促してきた。そして3月9日、ゼレンスキーは、ウクライナ人が戦時中に武器を使用することを認め、ウクライナに対する敵対行為をしたと見なされる人々への攻撃について法的責任を否定する法律を承認したのである。ウクライナ国防省は、戦車に火炎瓶を打ちつける方法の説明付き画像をネット上に掲載したほどだ。

ウクライナの社会学グループ「レーティング」(Rating)が3月上旬に実施した世論調査によると、調査対象のウクライナ人のうち90%以上が政府の戦争遂行を支持し、80%が武装抵抗に参加する意思を表明している。しかし、この調査では、ウクライナ東部のドンバス地域にあるドネツクとルガンスクの自称独立共和国に住む人々は除外されている。また、その時点で既に国外に避難していた100万人のウクライナ人も含まれていない。この調査以降、さらに360万人が国外に避難している。

しかし、うわべの勇ましい愛国心に隠れて、反戦運動がある。この運動は、戦争に反対する動機が多様であるのと同様に、地理的に分散しており、1つの勢力として動くに十分な統一性はないように見える。

マイダン後のウクライナでは、軍国主義への反対は、今回のロシアによる侵攻のはるか以前から、先行きが危うかった。ウクライナ人ジャーナリストで良心的兵役拒否者のルスラン・コツァバのケースは、軍法に基づく国家弾圧のケースとして、少なくとも人権団体や平和主義団体からある程度の国際的注目を集めた最初のものであったろう。コツァバはもともと、後に追放されたヴィクトル・ヤヌコーヴィッチ大統領の政権に対する2013〜14年のユーロマイダン抗議活動の支持者だった。しかし、ロシア系民族が大多数を占めるウクライナのドンバス地域で2014年に起きた暴力事件に反対を表明し、方向転換を始めた。彼は2015年、今では悪名高いYouTube動画*1を投稿し、極東地域における動員に対して集団ボイコットを呼びかけた。数十万回の再生回数を集めた後、Youtubeはそれを引っ込めた。これらの発言により、コツァバは逮捕・拘留され、反逆罪と「ウクライナ軍の正当な活動に対する妨害」で起訴された。後者の罪で3年半の判決を受け、1年以上刑務所で過ごした後、彼の有罪判決は控訴により覆された。しかし、2017年、高等裁判所がこの事件を再開し、2021年に彼の裁判が再開された。今回のロシアとの激化の直前には、完全には結論が出ていないものの、国による起訴が猶予された。この記事*2はウクライナにおける反戦表現に対する支配的な心情を垣間見させてくれる。ハルキウ/ハリコフを拠点とする「人権保護団体」のものだが、「ロシア国家との積極的な協力」を理由に、彼の起訴猶予を不当と評している。

*1
Ukrainian Pacifist, Ruslan Kotsaba, Speaks Out Against War – Friends Peace Teams
https://friendspeaceteams.org/ukrainian-pacifist-ruslan-kotsaba-speaks-out-against-war/
*2
‘Treason’ retrial of controversial Ukrainian blogger Ruslan Kotsaba goes hopelessly wrong
https://khpg.org/en/1519167414

「誰にでも密告される」

記者はパベルとだけ名乗ろうとする人物に話を聞いた。彼はキーウ/キエフを拠点とするウクライナ・マルクス主義のグループに所属しているが、この団体は現在では禁止されている。パベルは最近、ウクライナからルーマニアのブカレストに引っ越したが、本名や所属するグループの名称を明かすことは避けた。2015年、ウクライナでは共産党が「分離主義」を推進したという理由で非合法化された。さらに最近では、ロシアによる侵攻から1カ月後の3月22日、ゼレンスキーは主に左派の野党11党を禁止した。パベルは、これらの禁止令と、ウクライナに残る家族の安寧を、匿名にした理由に挙げている。

「軍に何か反対したり、NATOに抗議したり、実際には、あらゆる方向から政府に反対したりする者は誰でも、すぐに『親露派』のレッテルを貼られます」と、26歳の彼はToward Freedomに語った。「相手と意見が異なれば、誰もがロシアのスパイだと密告することが必至です。国家主義者、あるいは無政府主義者や進歩主義者のような『左翼』さえもです。国民のほとんどが国家主義者と手を組んでいる。SBU(ウクライナ保安局)は、抗議行動や集会、論文を嗅ぎつけると、『市民社会』の友人たちに話をし、これらの友人たちが武装した国家主義者を送り込んで、あなたを『処理』させるでしょう」。

彼は、ウクライナの都市ハルキウ/ハリコフに住む親しい同志について語った。この人物は2月24日以前にFacebookで、NATOのウクライナへの干渉に反対し、ミンスク合意を支持する声明を掲載していた。ミンスク合意は7年前の仲介によってウクライナ政府とドンバス分離主義勢力が結んだ停戦協定で、ドネツクおよびルガンスクというウクライナの二州の独立性を宣言したものだ。パベルによると、この人物は3月上旬、国家主義者グループに命を狙われて身を隠していた。この人物は、国家主義者たちがまだ自分たちを探していると考えていた。パベルと潜伏中のこの人物は、数年前に失踪した他の人たちを知っている。

このやり取りと、WhatsAppやTelegramでのわずかなやりとりを除いては、国外に出たウクライナの戦争抵抗者が記録に残る話をしたのを見つけるのは不可能に近かった。1カ月前、ゼレンスキーは戒厳令を発令し、18歳から60歳までの男性のほとんどを出国禁止にしたことを考えれば、これは驚くに当たらない。

兵役は「奴隷の一種」

ウクライナの平和主義リーダーであるユーリー・シェリアジェンコは、戦前の兵役逃れの罰則は最高で3年の禁固刑だったが、2月24日から罰則が無期限に延びたと記者に語った。このような審理や判決は、表向きは関与した「裁判官の安全」のために公開されないため、正確な罰則を確認することは不可能だという。4月10日の時点で、ウクライナの国境警備隊は、国外に脱出しようとする「戦闘年齢」の男性をおよそ2200人拘束したことを報告している。多くは偽造書類を使用したり、役人に賄賂を贈ろうとしたりしたとされ、地方の国境地帯にて死体で発見された者もいる。

一方、31歳のシェリアジェンコは、キーウ/キエフを離れてはいない。それどころか、自身の組織であるウクライナ平和主義運動(UPM)と共に、自国に対する紛争を含め、あらゆる形態の武力紛争に対する非暴力抵抗のメッセージを世界に広めるため、たゆまぬ活動を行っている。彼の組織は2019年に設立され、当初は彼が「奴隷の一形態」と呼ぶ強制的な兵役に反対することが目的であった。

Toward Freedomは日曜日に電話で2時間にわたり話す機会があった。彼は、ロシアにおいてであれ、他の国においてであれ、同じようにこの慣習に反対していると指摘した。しかし、ドンバス地域で戦争が激化した2019年、ウクライナの徴兵制は「特に残酷な性質を帯び始めました。交通違反や公共の場での酔っぱらい、警察官への何気ない無礼など、ささいな違反行為で、若者が路上やナイトクラブ、寮から軍召集をかけられたり、兵役にさらわれたりするようになりました。ウクライナでは、このような召喚に応じないと拘束されるのです。」

シェリアジェンコの平和主義は、旧ソ連末期にあたる幼少期、ウクライナの田舎で行われた「平和」なサマーキャンプで、作家のレイ・ブラッドベリやアイザック・アシモフの作品に没頭した時に培われたものだ。ユーロマイダン以降の今日、国粋主義をテーマにした軍国主義的なサマーキャンプがウクライナのあちこちで行われているのとは対照的であった。

ウクライナの超国粋主義的な子ども向け軍事サマーキャンプ
Ukraine's Hyper-Nationalist Military Summer Camp for Kids | NBC Left Field - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CpV16BQfbrQ

彼は現在、良心的兵役拒否者である。「ウクライナでは聖職者や宗教団体であっても良心的兵役拒否者が免除されることはありません」。彼は、2016年の「平和への権利国連宣言」が、良心的兵役拒否を国際法のレベルで保護することに失敗したと指摘した。さらに、トランスジェンダーや性別不適合者は八方塞がりの状態に置かれている。「ウクライナでは、トランス女性は法的に男性として扱われるため、戒厳令の対象から免除されることはありません。しかし、その場合、彼女たちは軍隊で戦うことも禁じられています。ここウクライナではLGBTの人たちが出国しようとして国境で、また軍隊の中で虐待されるという恐ろしい話もあります」とシェリアジェンコは述べている。

彼は、ウクライナ社会がますます軍国主義化し、ナチズムが現実の問題になっていると述べている。「我が国は実存的な敵を作り出し、今やすべての国民が一つの国民性と指導者の下に団結すべきであると言っているのです。この国は概して大きく右傾化しています。もちろんネオナチもいます。しかし、その場合、これらの多くは『ネオナチ』ではなく、『国の防衛者』として認識されているのです」。ミンスク合意の停戦は、ウクライナ軍と分離主義武装勢力の双方によって、ほぼ毎日のように破られてきたと彼は指摘した。とはいえ、OSCEウクライナ特別監視団のドンバスでのカメラ記録を精査すると、特に2月24日までの数日間、ほぼ毎日、最初の攻撃は「政府支配下」、つまりウクライナ軍領域から記録されていることが分かる。2月に戦争が激化するころには、UPMの任務は徴兵制への通常の反対を超えて、ウクライナおよびロシアにおける軍事動員に直接挑むことへと拡大していた。UPMが特に懸念しているのは、NATOの役割と、西側から無制限に送られてくる武器である。「国連が国際平和の法を執行するための真の組織となることに失敗したので、米国は世界規模で暴力的統治を確立するためにNATOを発展させました。これらのNATOの兵器は、この戦争を激化させ、レイセオン、ロッキード、ボーイングのような兵器企業にとって大きな利益をもたらすものです。ロイド・オースティン(米国防長官)はレイセオンの役員だ!」とシェリアジェンコは語った。後者の主張は正しい。

記者は、シェリアジェンコに、自身の安全に懸念があるか、政府や戦争に公然と反対することのリスクの性格について、尋ねた。「私は同胞相争う戦争で戦わないし、誰もそうすべきではありません。でも、幸いなことに、私は一貫して平和主義者です。もし、召集令状が来ても、私は行きません。そして、幾つかの予防策を講じています」。

シェリアジェンコは、ロシアの軍事行動にも反対を表明していると語った。しかし続けて、ウクライナがドンバス地域を自称独立共和国に譲ることを平和活動家が提案すれば、逮捕される危険性があると説明した。幸いなことに、彼は領土の譲歩を議論しないので、脅威とは見なされない。「私はむしろ変人、道化師と見られているのかもしれません」。

「数百万人が当局を支持しない」

もう一つの視点は、2015年に共産党とともに禁止されたウクライナの革命的組合「ボロツバ」の自称共産主義者で反ファシストのアレクセイ・アルブ(36)の言葉である。アルブは、地元オデッサの2014年の市長選挙で反マイダン運動の代表を務めた。しかし、2014年5月2日に起きた虐殺事件(訳注:「オデッサの悲劇」)の後、彼は逃亡を余儀なくされた。数十人の死者が出ていた。

「報道では、労働組合の建物に避難したのは私の要求で、だから42人の死は私の責任だという類いの非難が出始めました。もちろん、そんなことはありません」と、アルブはロシア語で記者に説明した。「しかし、私は、当局が世間の反応を準備していることに気づいたのです。5月8日、SBUが翌朝に私と同志を逮捕するという情報を得ました。その後、私は最重要指名手配リストに載りましたが、既にクリミアにいました」。

アルブは今、ルガンスク人民共和国のルガンスクという街にいる。そこから、ウクライナ政府が支配する地域に戻った同志と定期的に連絡を取り合っている。

「ウクライナの数百万人は極右当局を支持しているわけではなく、その全員が本当に怯えていると言いたい」。同様の心境は、Toward Freedomの3月21日の記事*にも書かれている。「これらは逮捕、拷問、誘拐を恐れているのです」とアルブは付け加えた。「軍事作戦が始まって以来、反対派の多くの著名人が誘拐され、行方不明になっています」。その中には、ウクライナ左翼勢力連合元リーダーのヴァシリー・ヴォルガや政治学者のドミトリー・ジャンギロフも含まれます。「さらに悪いことに、キーウ/キエフ体制に反対していた多くの人々が拘束され、これらの運命についてはまだ分かっていません。例えば、コムソモール(青年共産主義者同盟)のリーダーであるコノノビッチ兄弟、その他数百人もの人々です」。「親ロシア派」と非難されたコノビッチ兄弟が3月6日に拘束されたとの情報は、世界の左翼界隈で広まり、彼らの解放を求める声もあった。

アルブは、反戦運動がウクライナ国家にウクライナ右翼国軍の非軍事化を要求していることを改めて述べた。また、統一的な反ロシア自由戦士の国家というメディアが示す像の裏には、多くの反対意見を見いだせることを強調した。

アルブは、「ケルソンやメリトポリのような解放区では、多くの人々が軍事作戦と実際に関係していることが分かります」と述べ、ロシア軍が地域を支配するまでは、国家の弾圧に対する恐怖が人々の意見を覆い隠していることが多いことを示唆した。「キーウ政府の支配がなくなれば、人々は右翼的な占領の終結を極めて広く支持するようになるでしょう」と述べた。

ファーギー・チェンバースはニューヨークのフリーランスライターかつ社会主義オーガナイザーで、Toward Freedomのために東欧からレポートしている。ツイッター、インスタグラム、サブスタックに投稿している。

(以上)


太田光征
posted by 風の人 at 23:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ウクライナ危機

2022年04月18日

アイルランド国会議員のクレア・デイリーが「軍事覇権先進国」の「道義力」のなさを嘆く

クレア・デイリー(アイルランド国会議員)|ウクライナ vs. アフガニスタン
https://rumble.com/vxj3b7--vs.-.html?fbclid=IwAR3R_8K5hHtzyFsATnifaGsv9q-nYJOMYRJeZIqmljqXgpFYaqhrSqbliQo

クレア・デイリーさんの訴えは衝撃的な数字を含みますが、この数字は国連アフガニスタン事務所のラミズ・アラクバロフ人道調整官の声明などに基づくものと思われます。

彼女は、私の表現によれば「軍事覇権先進国」の「道義力」のなさ、ロシアはウクライナから軍隊を撤退させろという当然の道理が力を持ち得ない状況を嘆いているものです。ウクライナ戦争をめぐる核危機にしても、日本が核兵器禁止条約を批准するなど、「ウクライナ戦争を止めたい側の道義力」の向上をもって対処すべきと考えます。

アフガニスタンの飢餓危機への対処は時間切れになりつつある|ヒューマン・ライツ・ウォッチ
Time Running Out to Address Afghanistan’s Hunger Crisis | Human Rights Watch
https://www.hrw.org/news/2022/03/17/time-running-out-address-afghanistans-hunger-crisis

抜粋「2022年1月以降、およそ1万3千人の新生児が栄養失調や飢餓関連疾患で死亡し、人口の95%が十分に食べることができず、350万人の子どもが栄養補給を必要としています。国連はこの状況を「類を見ない重大性の食料不安と栄養失調の危機」と呼んでいます。」

アフガニスタンの人々が直面している食料不安と栄養失調の危機の継続に関するラミズ・アラクバロフ事務総長特別副代表兼常駐調整官兼人道調整官(Ph.D、MD)の声明|国連アフガニスタン事務所
Statement by Dr Ramiz Alakbarov, Deputy Special Representative for the Secretary General, Resident Coordinator and Humanitarian Coordinator, on the Continued Food Insecurity and Malnutrition Crisis Facing People in Afghanistan | United Nations in Afghanistan
https://afghanistan.un.org/en/174875-statement-dr-ramiz-alakbarov-deputy-special-representative-secretary-general-resident

抜粋「アフガニスタンでは、人口の95%が十分な食事ができておらず、その割合は女性が世帯主となっている世帯ではほぼ100%に跳ね上がります。この数字は、ほとんど想像を絶するほど高いものです。しかし、衝撃的なほどに、これが厳しい現実なのです。」
posted by 風の人 at 13:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | アフガニスタン危機

2022年04月17日

ウクライナ反戦運動がゼレンスキー体制の応援になってはいけない理由

現在のウクライナはミャンマーやイスラエルの政治に近づいています。社会学者のウォロディミル・イシェンコ氏がアルジャジーラでウクライナ政治の状況について説明しているので、ご紹介します。ウクライナ反戦運動がゼレンスキー体制の応援になってはいけない理由が分かると思います。ウクライナによる応戦の支援よりも停戦を実現させる運動に力点を置きましょう。

イシェンコ氏は下記記事によればウクライナ人です。下記記事ではゼレンスキーによる政党停止処分が左翼政党に対する弾圧かどうかの観点で書かれたもので、概してウクライナに左翼政党は存在しないと執筆者は評価しています。

Is Zelenskyy Cracking Down on the Ukrainian Left? | Novara Media
https://novaramedia.com/2022/03/24/is-zelenskyy-cracking-down-on-the-ukrainian-left/



ウクライナはなぜ11の「親ロシア」政党を停止したのか?| ロシア・ウクライナ戦争
Why did Ukraine suspend 11 ‘pro-Russia’ parties? | Russia-Ukraine war | Al Jazeera
https://www.aljazeera.com/opinions/2022/3/21/why-did-ukraine-suspend-11-pro-russia-parties

【要旨】
・ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「ロシアとのつながり」があると主張するウクライナの11政党を停止処分にした。そのうちの1つ「生活のための野党プラットフォーム」(自宅軟禁から逃れて逮捕されたヴィクトル・メドベチュクの政党)は最近の選挙で2位になり、450議席あるウクライナ議会で44議席を占めている。
・2014年以前、ウクライナの政治には、欧州・大西洋圏の国際機関よりもロシア主導の国際機関との緊密な統合などを求める大きな陣営が存在した。しかし、14年のユーロマイダン革命やクリミア、ドンバスにおけるロシアの敵対的行動により、親ロシア派はウクライナの政治において周縁化された。
・同時に、親ロシア派というレッテルが誇張され、ウクライナの中立を求める者を指す言葉として、また左翼その他多くの言説を貶め黙らせるために使われ始めた。理由は主に、これらの立場が2014年からウクライナの政治領域を支配してきた親欧米、新自由主義、民族主義の言説を批判しているためである。これらの言説はウクライナ社会の政治的多様性を実際に反映しているわけではない。
・最近活動が停止された3つの政党は2019年の議会選挙に参加し、合わせて約270万票(18.3%)を獲得している。2015年には、「脱共産化」法に基づいて国内のすべての共産主義政党が停止された。
・ロシアの侵攻よりずっと以前から、ゼレンスキーが政治的権力を強化しようと試みていた。昨年以来、政府は、不正行為の説得力ある証拠を提示することなく、定期的に反対メディアと一部反対勢力の指導者に制裁を加えている。1年前、政府はプーチンの個人的な友人であるヴィクトル・メドベチュクと彼のテレビ局に制裁を課した。世論調査でメドベチュクの政党がゼレンスキーの「人民のしもべ」党より国民の支持を得て、将来の選挙でゼレンスキーを追い抜く可能性があると言われ始めた直後であった。
・多くの国民は政府による過去の制裁について、ウクライナ国家安全保障・国防会議に出席している一部のグループが、腐敗した利益をさらに追求するために立案し、実施したものだと考えている。
・既にウクライナでは、野党や左翼のブロガーおよび活動家の捜索や逮捕に関する報道が憂慮されるほど増えている。


週末、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の政権は、「ロシアとのつながり」があるとの主張に基づき、ウクライナの11の政党を停止処分にした。停止された政党の大半は小規模で、中にはまったく取るに足らないものもあるが、そのうちの1つである野党「生活のための野党プラットフォーム」は最近の選挙で2位になり、現在450議席あるウクライナ議会で44議席を占めている。

2014年以前、ウクライナの政治には、欧州・大西洋圏の国際機関よりもロシア主導の国際機関との緊密な統合、あるいはウクライナがロシアやベラルーシと連合国家になることを求める大きな陣営が存在した。しかし、ユーロマイダン革命やクリミア、ドンバスにおけるロシアの敵対的行動により、親ロシア派はウクライナ政治において周縁化された。同時に、親ロシア派というレッテルが非常に誇張されてしまった。ウクライナの中立を求める者を指す言葉として使われるようになった。また、主権主義、国家開発主義、反欧米主義、非自由主義、ポピュリスト、左翼、その他多くの言説を貶め、黙らせるために使われ始めたのである。

このように多種多様な見解や立場が1つのレッテルの下にまとめられ、非難される理由は主に、これらの見解や立場が2014年からウクライナの政治領域を支配してきた親欧米、新自由主義、民族主義の言説を批判し、これらに疑問を投げかけているためである。これらの言説はウクライナ社会の政治的多様性を実際に反映しているわけではない。

しかし、ウクライナで「親ロシア」の烙印を押され、最近ゼレンスキー政権によって停止処分を受けた政党や政治家は、ロシアとの関係が非常に異なっている。中には、ロシアのソフトパワーの取り組みと関係があるかもしれないが(こうした関係がきちんと調査・証明されることはほとんどない)、実は自身がロシアの制裁下にある者もいる。

ウクライナの「親ロシア」政党の大部分は、何よりもまず「親自民」であり、ウクライナに自律的な利益と収入源を有している。これらの政党は、南東部に集中するロシア語話者としての相当規模の少数派ウクライナ人の現実的な不満を利用しようとしている。これらの政党は大衆の大きな支持を得ているのである。例えば、最近活動が停止された3つの政党は2019年の議会選挙に参加し、合わせて約270万票(18.3%)を獲得しており、ロシアの侵攻前に行われた最新の世論調査では、これらの政党は合わせて約16〜20%の支持を集めている。

ゼレンスキーの停止リストに載っていた他の政党は、左翼的な志向を持っていた。その一部は社会党や進歩社会党など、1990年から2000年代にかけてウクライナの政治で重要な役割を果たしたが、今ではすっかり周縁化されている。実際、現在のウクライナには、その名前に「左翼」や「社会主義」を冠し、現在あるいは当面の間、一般選挙でかなりの部分を確保できる政党は存在しないのである。ウクライナは既に2015年、「脱共産化」法に基づいて国内のすべての共産主義政党を停止しており、これはベネチア委員会から強く批判された。今回の停止処分は、必ずしもウクライナの政治圏から左派を消したいという動機からではないかもしれないが、そうしたアジェンダに寄与していることは間違いない。

皮肉なことに、これら政党の停止処分はウクライナの安全保障にとってまったく無意味である。確かに、「進歩的社会主義者」のように、停止された政党の中には長年にわたって強く純粋な親ロシア派であったものがある。しかし、ウクライナで何らかの実質的な影響力を持つこれら政党の指導者や後援者は実質的にすべてがロシアの侵攻を非難し、現在はウクライナの防衛に貢献しているのである。

さらに、政党活動の停止が、これらの政党の党員や指導者によるウクライナ国家に対する何らかの行動の防止にどのように役立つかは明らかでない。ウクライナの政党組織は、おそらく、活動停止中のシャーリー党(ウクライナで最も人気のある政治ブロガーの1人で、現在は人道的活動に傾注している人物(訳注:アナトリー・シャーリー)が設立)を一部例外として、政治家・活動家の総体としては通常非常に弱いのである。侵略の最中に、クレムリンと直接、あるいはそのプロパガンダ網を通じてロシアと協力しようと考えている人たちは、党組織の外でこれを行うだろう。党の公式口座を通じてロシアの資金を動かそうとする理由もないだろう。

このことはすべて、ウクライナ政府が左翼政党や野党の活動停止を決定したのは、ウクライナの戦時における安全保障上の客観的な必要性とはほとんど関係がなく、ユーロマイダン以降のウクライナ政治の分極化とウクライナ人のアイデンティティーの再規定(この国において多様な反対意見の立場を許容可能な言論の境界から追いやった)と大きく関係していることを示している。また、ロシアの侵攻よりずっと以前から、ゼレンスキーが政治的権力を強化しようと試みていたこととも関係がある。

実際、政党の活動停止という決定は、あるパターンに従っている。昨年以来、政府は、国民に不正行為の説得力ある証拠を提示することなく、定期的に反対メディアと一部反対勢力の指導者に制裁を加えているのだ。

例えば1年前、政府はプーチンの個人的な友人であるヴィクトル・メドベチュクに制裁を課した。世論調査でメドベチュクの政党がゼレンスキーの「人民のしもべ」党より国民の支持を得て、将来の選挙でゼレンスキーを追い抜く可能性があると言われ始めた直後であった。当時、メドベチュクと彼のテレビ局に対する制裁は、在ウクライナ米国大使館からも支持されていた。その後、複数のアナリストが、こうした制裁措置が、プーチンにウクライナではロシアに親和的な政治家は絶対に選挙で勝つことが許されないと思わせ、戦争の準備を始めさせた要因の1つではないかと、推測している。

現在、メドベチュクは自宅軟禁を免れ、ウクライナ当局から身を隠している。「生活のための野党プラットフォーム」は彼を党首からはずし、ロシアの侵攻を非難し、ウクライナを守る軍に参加するよう党員に呼びかけた。

ロシアによる侵攻の最中、「親ロシア派」の政党を停止するという決定を安全保障上の必要性から分類するのは簡単だが、この動きはこうした広い文脈で分析され理解されるべきである。また、野党、政治家、メディアに対する政府の制裁体制は、ウクライナ国内で長い間広く批判を集めてきたことを指摘しておくことも重要である。この国では多くが、この制裁はウクライナ国家安全保障・国防会議に出席している一部のグループが、真剣な議論もなく、怪しげな法的根拠に基づいて、腐敗した利益をさらに追求するために立案し、実施したものだと考えている。

従って、この戦争が終われば、政党の活動停止が解除される理由はほとんどない。法務省が法的措置をとって、政党を永久禁止にする可能性が高い。

しかし、それでは戦争の助けにも現政権の政治的野望の助けにもならない。実際上は、一部のウクライナ人をロシアとの協力に向かわせることになりかねない。

実際、これまでのところ、占領地での侵略者との協力はごくわずかである。親ロシア派の政党や政治家を国民多数が支持する気配はない。また、ロシアがウクライナに傀儡政権を樹立することになれば、間違いなくこれらの政党に接近するだろうが、これら政治の幹部の多くはその申し出を断るだろう。資本、財産、西側諸国での利益を危険にさらしたくはないだろうから。これら「親ロシア」政党の支持を受けて当選した地方指導者の中には、既に侵略軍に協力するつもりはないと明言している者もいる。

しかし、これらの政党が停止された後、その地方組織や議会のメンバー、および積極的な支持者は、占領地でロシア人に協力する傾向が強まるかもしれない。実際、ウクライナに政治的な未来がなく、むしろ迫害に直面していると確信すれば、これらの人々はロシアに目を向け始めるかもしれない。そうなれば、大衆が「裏切り者」を探して処罰し始め、ウクライナの「ナチズム」問題についてのロシアのプロパガンダが強化されるため、暴力が助長される可能性がある。既にウクライナでは、野党や左翼のブロガーおよび活動家の捜索や逮捕に関する報道が憂慮されるほど増えている。

今日、ウクライナは存亡の危機に直面している。ウクライナ政府は、今回の活動停止などの動きがウクライナ国民の一部を疎外し、指導者の意図を疑わせることは、国を強くするのではなく、弱くし、敵に利するだけであると理解する必要がある。

ウォロディミル・イシェンコ
ベルリン自由大学東欧研究所研究員
ウォロディミル・イシェンコはベルリン自由大学東欧研究所の研究員。研究テーマは、抗議行動や社会運動、革命、急進的な右派・左派の政治、ナショナリズム、市民社会。現在、書籍『マイダン蜂起:2013〜2014年のウクライナにおける動員、急進化、革命』の原稿を共同執筆中。

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太田光征
posted by 風の人 at 17:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ウクライナ危機

2022年04月10日

ウクライナ危機:英国人フォトジャーナリストのマクシミリアン・クラーク氏が記録するドンバス地域の戦争被害

マクシミリアン・クラーク(Maximilian Clarke)氏は、フェイスブックでの自己紹介によれば、イラク、アフガニスタン、ウクライナ、ロンドンで紛争と人物を写している写真家です。公式サイトによれば、アフガンの学校を支援する活動も行っています。

Maximilian Clarke(@MTIClarke)さん / Twitter
https://twitter.com/MTIClarke
Maximilian Clarke | Facebook
https://www.facebook.com/maximilian.clarke
Maximilian Clarke Photography
https://www.maximilianclarke.co.uk/
Maximilian Clarke - YouTube
https://www.youtube.com/c/MaximilianClarke/videos

クラーク氏は香港のフォトエージェシーSOPA Imagesを通じて、CBSに(4)の写真を提供しています。クラーク氏がCBSに写真を提供したことは、クラーク氏の別の写真(1)と同じものが(2)の写真販売サイトに掲載されており、(2)と(4)に加え、(3)など多くのSOPA Imagesのツイッター写真にMaximilian Clarke/SOPAのクレジットが付いていることで証明されます。Maximilian Clarke/Sipaのクレジットがある(5)のCNNの写真も、おそらくクラーク氏が提供したものでしょう。

(1)Maximilian ClarkeさんはTwitterを使っています:
Central #Mariupol. This is just a fraction of the death I saw today. I'm choosing not to share the worst images.
https://twitter.com/MTIClarke/status/1510720040018010117

(2)ZUMA Press - Image Search: Russian War on Ukraine: Conflict Continues in Mariupol
http://www.zuma.press/srp.html?HEADLINE=Russian+War+on+Ukraine:+Conflict+Continues+in+Mariupol&PDS=&PDS=

(3)SOPA ImagesさんはTwitterを使っています:
(EDITORS NOTE: Image depicts death) Multiple civilians lie #dead in an intersection in the centre of Mariupol as a Donetsk soldier stands guard in #Mariupol, #Ukraine on Apr 3, 2022. The war between #Russian forces & defending Ukrainian continues in Mariupol. 📷 Maximilian Clarke
https://twitter.com/sopaimages/status/1511178804672483332

(4)Russians push deeper into port city of Mariupol as locals plead for help: "Children, elderly people are dying" - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/mariupol-russia-ukraine-war-locals-plead-for-help/

(5)CNN.co.jp : プーチン氏が「目標修正」、ウクライナ東部で5月に勝利宣言か 米情報当局
https://www.cnn.co.jp/world/35185792.html

親ロシア派が支配するウクライナ東部のドンバス地域(ドネツク、ルハンスク)における戦争被害を伝えるジャーナリストは、ことごとくロシアの手先というレッテルを貼られています。今のところ、キーワード「Maximilian Clarke」でGoogle検索しても、それらしいレッテルは見当たりませんが、クラーク氏も時間の問題かもしれません。

今のうちに、彼がユーロマイダン革命時から撮り続けてきた映像のうち、今回のロシアによるウクライナへの大規模侵攻後のものを紹介します。YouTubeチャンネルにはもちろん、過去の映像もあります。

ウクライナ側と思われる地点からドネツク人民共和国(DPR)支配下の住宅地に砲弾とミサイルによる攻撃があることが記録されています。CBSというメディアは、彼の写真の存在を知りながら、親ロシア派住民の被害を報道しているでしょうか。キーワード「Maximilian Clarke CBS」で検索しても、上記(4)の記事しか出てきません。西側メディアの偏向ぶりをよく示しています。

ドネツクへの砲撃については、ウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏も3月1日のデモクラシー・ナウ!の番組*で、「ロシアがハリコフや他の都市を砲撃している間、ウクライナはドネツクへの砲撃を続けた」と説明しています。

*ウクライナ危機:全当事者の反省による道義力の回復を基盤に新たな安全保障を提案する形で停戦へ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486063689.html

ドンバス内戦が今も継続中で、親ロシア派住民にも被害が出ていることを報道するかしないかは、今回の大規模侵攻の停戦気運に影響するはずです。

前置きが長くなりましたが、以下、動画をご紹介します。

ドネツクの住宅地が砲撃される
2022年4月6日
Donetsk residential neighbourhood shelled - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=6rFuLN_MzL4
ドネツクのペトロフカ地区、ドネツク人民共和国(DPR)/ウクライナ前線付近で砲撃される。

ドネツクの家屋が砲撃で炎上
2022年3月28日
Donetsk houses burn after artillery strike - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=42JGwsmZsvM
ウクライナのペスキーと思われる地点から、それに隣接するドネツクのキエフスキーで、砲撃により、複数の民間建物が燃え、その他にも多くが被害を受けている。

マリウポリ:避難の列を成す住民たち(車列は白布を付けている)
2022年3月20日
Mariupol: residents queuing to flee - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=AI8hFRw5Gvo
包囲された港湾都市マリウポリ(ドネツク地域南部のアゾフ海岸にある)の住民は、ドネツク人民共和国/ロシア管理地域につながる北部の人道回廊を経由して市外に脱出するために車や徒歩で列を成している。

極めて生々しく心をかき乱す映像:ドネツクにおけるクラスター爆弾の影響
2022年3月15日
Extremely graphic and disturbing: Donetsk cluster bomb aftermath - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_7T1MYc4Y7s
クラスター爆弾の弾頭を搭載したトーチカU(スカラベ)弾道ミサイル(ウクライナ軍が発射したとされる)がドネツクのまさに中心部を襲い、約26人の市民が死亡し、悪夢のような光景が広がっている。

下記はマリウポリにおける親ロシア派兵士の様子を示した動画です。

マリウポリ中心部とその周辺(親ロシア派兵士は赤白腕章を付けている)
2022年4月1日
In and around central Mariupol - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4OIaoOzyCNI
包囲された港湾都市マリウポリ(ウクライナ南東部のドンバス南部のアゾフ海岸沿い)における生き様を短く浮き彫りにする。


太田光征
posted by 風の人 at 20:59 | Comment(0) | ウクライナ危機

ウクライナ危機:日本の国会とメディアは情報戦に荷担するな

米国・西側による対ロシア情報戦に基づいて、ロシアについての妄想が作られています。対ロシア情報戦では、ロシア軍による蛮行ひいてはロシア軍に対する憎悪の「水増し」も行われているとみるべきでしょう。これらはロシアによるウクライナ侵略反対という大義を超えており、ロシアそのものの解体を狙う米国の戦略を支えるものです。さらには中国・北朝鮮のイメージへと自動的に重なる形で、東アジアでの軍事的緊張を高める方向に作用します。残念ながら、こうした効果を持つ情報戦に、日本のメディアと国会が荷担しています。

ウクライナ危機:ゼレンスキーに国会で「ロシアが化学兵器攻撃を準備」発言を許した責任は重大
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486375216.html

ウクライナ反戦運動の目標は、ロシア軍の撤退、ドンバス内戦の終結、米国による対ロ・対中戦争の抑止にあるはずです。日本の役割は、火消し役を務めることであり、戦争を煽ることではありません。

NBCの下記記事は、全体として米国による情報戦の有用性を認めているようなものですが、ご紹介します。

米国は過去の慣例を破り、ロシアとの情報戦のために、確かな根拠がなくとも機密解除した情報を使用している
In a break with the past, U.S. is using intel to fight an info war with Russia, even when the intel isn't rock solid
https://www.nbcnews.com/politics/national-security/us-using-declassified-intel-fight-info-war-russia-even-intel-isnt-rock-rcna23014

タイトル自体がふざけています。プロパガンダによってイラク戦争を開始したことなどにはまったっく触れていません。米国は情報戦を先手の手段と位置付けているわけですが、物理的な敵基地攻撃論(ただの戦争)と同じ考え方です。(外見上の)ウクライナが攻められたらどうする論であって、米国が戦争を仕掛けたらどうするかを批判しているわけではありません。

以下、抜粋翻訳です。

<考え方は、クレムリンの戦術に先手を打ち、軍事作戦を複雑化させ、「モスクワのプロパガンダを弱体化させ、この戦争が世界でどのように認知されるかをロシアが決定付けることを阻止するため」(この戦略に詳しい西側政府当局者)というもの。>(太田:米国のプロパガンダによる認知誘導をも認めているようなもの)

<複数の米政府関係者は、情報の正確性に対する信頼が高くない場合でも、米国は情報を武器として使ってきたと認めている。化学剤の場合ように信頼性の低い情報を抑止力のために使うこともあれば、ある当局者が言うように、米国は単に「プーチンの頭の中に入ろうとしているだけ」である。>

<2人の米政府当局者は、プーチンの側近がプーチンに嘘をついているかどうかについての情報は決定的なものではなく、確かな証拠よりも分析に基づくものであると語った。他の当局者は、情報は非常に信頼性が高く、最高レベルで吟味されていると述べ、これに異議を唱えた。>

<米政府当局者は、中国がロシアへの武器供与を検討している兆候はないと述べた。バイデン政権は、そうしないよう中国に警告するためにそれを出した。>

<「我々は、米国さらに広くその同盟国やパートナーが、戦わずに勝つこと、今やいわゆるグレーゾーンで戦うこと、そして進行中の物語の戦争で弾薬を供給することを実現させるために、この支援(訳注:情報戦)を要請する」と、大将らは当時の国家情報長官代理のジョゼフ・マグワイアに書き送った。>


太田光征
posted by 風の人 at 15:55 | Comment(0) | 一般

ウクライナ危機:ゼレンスキーに国会で「ロシアが化学兵器攻撃を準備」発言を許した責任は重大

3月23日、下記の意見を自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組にオンラインで送りました。

ゼレンスキーに国会で「ロシアが化学兵器攻撃を準備」発言を許した責任は重大

国会の場でゼレンスキーにロシアが化学兵器攻撃を準備しているという報告を受けていると言わせたことは、重大な問題です。世間は3月20日のイラク戦争19年をスルーしたが、イラクが大量破壊兵器を持っているとでっち上げて米国が開始したイラク戦争の悪夢を想起しないのでしょうか。
プロパガンダは戦争を焚き付けるものです。私は貴党あてに「ゼレンスキーの国会演説は控えめにいっても戦意高揚ないし情報戦、可能性としてはプロパガンダの主張をするための場を与えることになるものであり、言語道断です」と意見を送りました。

ロシアが化学兵器攻撃を準備していることの真偽は不明です。ゼレンスキーの国会演説に賛成した政党と国会議員は、このゼレンスキー発言がプロパガンダでないことを証明する責任があります。プロパガンダであると判明した場合、ゼレンスキー非難決議を上げるべきです。

ゼレンスキーはミンスク合意(停戦協定)違反の当事者です。今回のロシアによる大規模侵攻の背景を作り出した責任の一端があります。このことを前提に、日本は火消し役にまわり、即時の停戦を外交で働きかける役割を果たすべきです。

ウクライナ危機:国連文書に記録されたドンバス内戦での人権侵害
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486112824.html
欧州安全保障協力機構の調査により、2017年1月1日〜2020年9月15日の間に、ウクライナのルガンスクとドネツクで民間人の犠牲者946人、うち死亡者161人が確認されています。
https://www.osce.org/files/f/documents/f/b/469734.pdf

太田光征
posted by 風の人 at 15:22 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年04月05日

ウクライナのユーリー・シェリアジェンコ氏:すべての側が戦争を煽ってきた。包括的な和平交渉だけが戦争を終わらせることができる(2022年3月22日付デモクラシー・ナウ!)

気づくのが遅すぎましたが、3月22日のデモクラシー・ナウ!の番組をご紹介します。ウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏については既に何度かご紹介しましたが、日本のウクライナ反戦運動に必要だが欠けているものをシェリアジェンコ氏が言ってくれています。私が言いたいことをまとめて言ってくれています。

シェリアジェンコ氏はウクライナ戦争を西側と東側の対立と見なした上で、ロシアや中国に対する憎悪を煽るのではなく、包括的な和平交渉を戦争当局だけでなく市民も追求するよう求めています。米国からロシア、米国から中国への脅しの政治を止め、あらゆる覇権を排除して調和を確立するための交渉をバイデン、ゼレンスキー、プーチン、習近平に求めています。ドンバス内戦に先立つNATOの拡大、暴力的なマイダン革命、ミンスク合意違反、ウクライナの軍事的対応、好戦的なウクライナ市民社会、戦争を煽る軍需企業をも当然のように批判しています。またコードピンクの呼びかけで4月28日に行う国際デモ「ストップ・ロッキード・マーティン」やNATO反対連合による6月の反NATO首脳会議デモ、「平和のためのヨーロッパ」キャンペーンが非暴力平和キャラバンを紛争地に派遣して平和維持に当たる活動、兵役拒否支援の請願署名などを紹介しています。

日本のウクライナ反戦運動がくれぐれも米国によるロシア崩壊、対中国戦争の準備に荷担しないようにしたいものです。



キエフ在住のウクライナ人平和主義者:すべての側が戦争を煽ってきた。包括的な和平交渉だけが戦争を終わらせることができる(2022年3月22日付デモクラシー・ナウ!)
Ukrainian Pacifist in Kyiv: All Sides Have Fueled the War. Only Comprehensive Peace Talks Can End It | Democracy Now!
https://www.democracynow.org/2022/3/22/yurii_sheliazhenko_russian_invasion_week_4

ウクライナのケルソン市では月曜日、非暴力の反戦抗議者数百人が集まり、ロシアの占領に反対するとともに、非自発的兵役に異議を唱えました。ロシア軍はスタングレネードや機関銃で群衆を解散させました。一方、バイデン大統領はブリュッセルで今週開催されるNATO首脳会議に向けて出発する予定で、西側同盟はロシアが核兵器やその他の大量破壊兵器の使用に転じた場合の対応について協議する準備を進めています。キエフ在住のウクライナ人平和活動家ユーリー・シェリアジェンコは、戦争の両当事者が歩み寄って事態を緩和させなければならないとして、「私たちに必要なのは、さらなる武器やさらなる制裁、ロシアや中国に対するさらなる憎悪による紛争の激化ではなく、もちろんその代わりに、包括的な和平交渉が必要なのです」と語っています。

エイミー・グッドマン:こちらはデモクラシー・ナウ!です。フアン・ゴンサレスとお送りします。

今日の番組はウクライナのキエフで終わります。キエフから、ユーリー・シェリアジェンコに参加してもらいました。彼はウクライナ平和主義者運動の事務局長であり、欧州良心的兵役拒否協会の理事でもあります。また、ワールド・ビヨンド・ウォーの理事、ウクライナのキエフにあるクロック大学の研究員も務めています。ロシア軍は占領している南ウクライナのケルソン市で、スタングレネードと機関銃を使用して、ロシアの占領に抗議すべく月曜日に集まった数百人の群衆を解散させましたが*、ユーリーはケルソン市からの報告を入念にフォローしています。

*訳者注記
Russian troops use stun grenades and gunfire to clear Ukrainian protest in Kherson - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=QqWgkdRaYJg

ユーリー、デモクラシー・ナウ!にまたようこそ。あなたはまだキエフにいますね。今、何が起きているのか、何を求めているのか、お話しいただけますか。特に興味があるのは、ロシアが都市を破壊できないように、飛行禁止区域を求める声でほとんど一色のようですが、西側諸国は飛行禁止区域の設定を強制すること、つまりロシアの飛行機を撃ち落とすことが、核戦争につながることを深く懸念しています。これに対するあなたの立場を教えてください。

ユーリー・シェリアジェンコ:エイミー、ありがとうございます。平和を愛する世界中のすべての皆さん、こんにちは。

もちろん、飛行禁止区域は現在の危機に対する軍事的な対応です。そして、私たちに必要なのは、さらなる武器やさらなる制裁、ロシアや中国に対するさらなる憎悪による紛争の激化ではなく、もちろんその代わりに、包括的な和平交渉が必要なのです。そして、米国はこの紛争に無関係な当事者ではありません。それどころか、この紛争はウクライナを超えたところにあります。西側と東側の対立と、ロシアとウクライナの対立という二面性があるのです。NATOの拡大が先にあって、2014年にキエフで西側がスポンサーとなったウクライナの民族主義者による暴力的な権力奪取が起こり、同じ年にクリミアとドンバスでロシアの民族主義者とロシア軍による暴力的な権力奪取が起こったのです。つまり、2014年というのは、もちろん、この暴力的な紛争が、最初から、政府と分離主義者の間で始まった年だったのです。そして、大規模な戦闘の後、和平協定のミンスク合意が締結されましたが、双方がこれを順守せず、双方での停戦違反に関するOSCEの客観的な報告書があるわけです。これらの停戦違反は、ロシアがウクライナに不法に侵攻する前からエスカレートしていました。そもそもの問題は、国連安全保障理事会が国際的に承認した平和的解決策が、当時は順守されなかったことです。そして今、バイデン、ゼレンスキー、プーチン、習近平が一つの交渉のテーブルにつき、この世界をより良く変える方法、あらゆる覇権を排除し、調和を確立する方法を話し合う代わりに、米国からロシア、米国から中国への脅しの政治、戦争に夢中のウクライナ市民社会による飛行禁止区域の設置という要求を目の当たりにしているのです。

ところで、ウクライナにおけるロシア人に対する憎しみはすごいもので、この憎しみは、戦争屋の政権だけでなく、ロシアの人々に対しても、世界中に広がっています。しかし、私たちはロシアの人々が、その多くがこの戦争に反対していることを目の当たりにしています。そして、私は、戦争や戦争屋に非暴力で抵抗するすべての勇気ある人々、ロシアによる占領に抗議したウクライナのケルソン市の人々に感謝します。そして、侵略軍であるロシア軍隊は、これらの人々に向かって銃を撃ちました。残念なことです。

ご承知の通り、ウクライナには非暴力的な生き方を追求する人たちがたくさんいます。ロシアの侵略前に代替任務に就いたわが国の良心的兵役拒否者の数は1659人でした。この数字は、欧州良心的兵役拒否協会(EBCO)が発表した良心的兵役拒否に関する2021年年次報告書( https://ebco-beoc.org/sites/ebco-beoc.org/files/attachments/2022-03-21-EBCO_Annual_Report_2021_0.pdf )からのものです。この報告書は、2021年にウクライナ、ロシア、ロシア占領下のクリミアとドンバス、トルコ、トルコ占領下のキプロス北部、アゼルバイジャン、アルメニア、ベラルーシなど幾つかの国で、多くの良心的兵役拒否者たちにとってヨーロッパが安全な場所ではなかったと結論付けています。良心的兵役拒否者は、訴追、逮捕、軍事法廷での裁判、投獄、罰金、脅迫、攻撃、死の脅し、差別に直面しました。ウクライナでは、軍隊に対する批判や良心的兵役拒否の主張は反逆罪とみなされ、処罰されます。ロシアでは、反戦集会で何千人もの人々が逮捕され、罰金を課されました。

EBCOの年次報告書から、「ロシアにおける良心的兵役拒否者運動」の声明文を引用したいと思います。「ウクライナで起きていることは、ロシアが引き起こした戦争である。良心的兵役拒否者運動は、ロシアの軍事侵攻を非難する。そして、ロシアに戦争を止めるよう要求する。良心的兵役拒否者運動は、ロシア人兵士に敵対行為に参加しないよう呼びかける。戦争犯罪人になるな。良心的兵役拒否者運動は、すべての新兵に兵役を拒否するよう呼びかける。代わりの文民活動を申し出るか、健康上の理由で免除されるよう努力せよと」。そしてもちろん、ウクライナ平和主義者運動もまた、ウクライナの軍事的対応と、軍事的解決策を追求した結果であるとみているこの交渉の停滞を非難します。

フアン・ゴンザレス:ユーリー、あと数分しかないので聞きたいのですが、あなたは既に米国とNATOの直接的な関与について話していますね。西側からウクライナに供給された武器の問題だけでなく、明らかに、ウクライナ軍が西側から受け取っている可能性が非常に高い実際の衛星監視データに関しても、ほとんど報道されていませんね。何年か後には、ロシア軍へのドローン攻撃はネバダなどのアメリカ基地から遠隔操作されていたとか、ウクライナ国内に既に相当数のCIAや特殊作戦部隊が存在していたとか、そういうことが分かってくるのではないかと推測します。おっしゃるように、ロシア、アメリカ、ウクライナのすべての側に民族主義者がいて、今の危機を煽っています。この戦争に対するウクライナの人々の抵抗はどのようなものなのか、あなたの感覚はいかがでしょうか。抵抗はどの程度広がっているのでしょうか。

ユーリー・シェリアジェンコ:ご存じのとおり、このエスカレーションは、これらの軍需企業の働きかけによるものです。私たちはアメリカの国防長官ロイド・オースティンがレイセオンとつながっていることを知っています。彼は取締役でした。レイセオンの株価はニューヨーク証券取引所で6%の伸びを示していることも知っています。ウクライナにスティンガーミサイルを供給し、ジャベリンミサイルの製造元であるレイセオンは、38%の成長率を記録しています。そしてもちろん、このロッキード・マーティンもあります。F-35戦闘機を供給しています。14%の成長率です。彼らは戦争から利益を得て、戦争を推進し、流血や破壊からさらに利益を得たいとさえ思っています。何とか核戦争の規模にエスカレートしていませんが。

そして、人々は政府に対して、戦うのではなく、交渉するように迫るべきです。アメリカやヨーロッパでは、戦争屋に反対する多くの行動が行われています。WorldBeyondWar.orgのウェブサイト( https://worldbeyondwar.org/ )では、「ロシアはウクライナから撤退せよ。NATOは廃止を」というバナーがある告知を見つけることができます。コードピンクは、バイデン大統領と米国議会に対し、エスカレーションではなく交渉のための請願を続けています。またコードピンクは、4月28日に世界規模のデモ「ストップ・ロッキード・マーティン」を行う予定です。NATO反対連合は、2022年6月にこの件とマドリードでのNATO首脳会議に反対してデモ行進を行うと発表しました。イタリアでは、Movimento Nonviolento(非暴力運動)が良心的兵役拒否者、兵役登録拒否者、ロシアやウクライナの脱走兵に連帯して良心的兵役拒否キャンペーンを開始しました。ヨーロッパでは、「平和のためのヨーロッパ」キャンペーンが、ヨーロッパの非暴力平和主義者がプーチンとゼレンスキーに最後通告を出すと述べました。戦争を直ちに止めよ、さもなければ、ヨーロッパ中から非暴力平和主義者のキャラバンを組織し、あらゆる手段を使って非武装で紛争地域に行き、戦闘員の間で平和維持者として活動する、というものです。例えば、ウクライナでの抗議行動については、このような恥ずべきものがあります…

エイミー・グッドマン:ユーリー、あと5秒です。

ユーリー・シェリアジェンコ:OpenPetition.euで「軍隊経験のない18歳から60歳までの男性のウクライナ出国を許可する」( https://www.openpetition.eu/petition/online/allow-men-aged-18-60-without-military-experience-to-leave-ukraine )と題した請願署名が59000筆集まったことをお伝えしたいと思います。

エイミー・グッドマン:ユーリー、もうこの辺で失礼します。参加いただき大変ありがとうございました。ウクライナ平和主義運動事務局長のユーリー・シェリアジェンコでした。

そして、今入ったニュースです。ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワルニーに9年の追加懲役が言い渡されました。


太田光征
posted by 風の人 at 23:15 | Comment(0) | ウクライナ危機

ウクライナに非暴力平和キャラバンを送って平和維持に当たる取り組みが進められている!

非暴力平和キャラバンでウクライナ戦争の平和維持活動に当たる取り組みが進められているので、ご紹介します。これぞ日本国憲法の理念に沿った活動ではないでしょうか。もっとも、参加のハードルが高すぎますが。

Ultimatum to Putin and Zelensky: stop the war | Europe For Peace
http://www.europeforpeace.eu/en/979_ultimatum-to-putin-and-zelensky-stop-the-war

ヨーロッパの非暴力平和主義者が戦争当事者に最後通告を出す。

- 戦争を直ちに停止し、停戦を宣言し、人道支援団体による救援を許可せよ。
- ロシアとウクライナの戦争を解決するために全面的な交渉を開始せよ。

この無条件の最後通告に3月25日までに従わない場合、私たちはヨーロッパ中から非暴力の平和主義者のキャラバンを組織し、あらゆる手段を使って、非武装で紛争地域に行き、戦闘員の間で平和維持者として活動する。これらのキャラバン隊は、白旗と平和の旗で識別されることになる。
また、国連に対して、紛争当初から行うべきであったが、平和維持軍を同行させることも要求する。私たちは、すべての政府、特にNATO加盟国に対し、当事者に武器を送り、戦争を煽ることを直ちにやめるよう要求する。


太田光征

posted by 風の人 at 21:51 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年04月01日

日本記者クラブの「ウクライナ」シリーズレクチャーの危うさ

停戦を追求する気ゼロで、ウクライナ人に武力抵抗を続けさせるためのレクチャー。誰も記者が突っ込まない。恐ろしい。


「ウクライナ」(1) 廣瀬陽子・慶応義塾大学教授 2022.3.2
https://www.youtube.com/watch?v=4dvxbRZRdgc

廣瀬陽子さんは、「異常ともいえる西側への恨み」が今回のプーチン戦争の大きな背景とみています。21年に米国がアフガニスタンから撤退した後、ロシアがウクライナはアフガンのように見捨てられるとの「プロパンガンダ」を行ったとの見立てを示しまた。ウクライナも欧米とロシアの代理戦争であるとの位置付けをした上で、「専制国家と民主国家」の二局分化なのだといいます。そして結論として「世界が一丸となってロシアと闘う必要」を説きます。

ロシアを力で押さえ付けようという思想で貫かれていることが分かります。これは大変危険な考え方であり、今回の悲劇を生んだ背景でしょう。ウクライナを民主国家と呼ぶことには無理があります。マイダン革命による親露派ヤヌコーヴィチ大統領の放逐とその後に続く親ロシア派住民の虐殺(オデッサの悲劇)だけではありません。これら事件を公正に捜査しない法執行機関の問題などが、国連文書*1に記録されています。ロシア憎しゆえと思われる共産党非合法化*2やロシア語圧殺の2019年言語法*3なども問題です。


*1 ウクライナ危機:国連文書に記録されたドンバス内戦での人権侵害
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486112824.html
*2 ウクライナ:共産党非合法化 言論の自由に大打撃 : アムネスティ日本 AMNESTY
https://www.amnesty.or.jp/news/2015/1225_5778.html
*3 直言(2022年3月21日)「大本営発表」はロシアだけではない──メディアが伝えないウクライナの「不都合な真実」
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2022/0321.html

質疑応答で民間軍事会社の質問が出ても、表情ひとつ変えずに分からないとの回答でした。長期泥沼化の悲惨なイメージが浮かばないのでしょうか。


「ウクライナ」(2) 小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター専任講師 2022.3.9
https://www.youtube.com/watch?v=r0a3s5Y50yo

小泉悠さんは質疑応答で記者から「日本市民としてこの事態を変えるためにできることは」と問われ、「米国でさえできないのに我々が何か簡単にできると思わない方がいいと思いますが」と回答しているように、国家主体でしか安全保障や平和を考えられないようです。国民の名で世界の全人民の平和的生存権などの理念を全力で達成すると誓った日本国憲法の精神には関心がないのでしょう。

ウクライナによる応戦を引き延ばすべきであると言っており、即時停戦を実現する立場には立っていません。米国の関与についての質問には、「ゲリラ戦トレーニングはやっているかもしれない。やるとすれば国外のNATO加盟国内。現地に入っているかもしれない。情報収集目的か」と回答しており、この方も長期泥沼化の懸念と要因について無頓着です。


「ウクライナ」(3) 角茂樹・元駐ウクライナ大使 2022.3.10
https://www.youtube.com/watch?v=e-rcYZPFM1c
https://youtu.be/e-rcYZPFM1c?t=4372

角茂樹さんはスクリーンに映し出された資料の冒頭で「欧州と米国は、ロシアに民主主義と市場経済を根付かせることに失敗。」と記していますが、こうした傲慢な姿勢はロシアの反発を招き、世界を危険に陥れるだけです。

角さんは2014年10月から2019年1月まで駐ウクライナ大使を務めたということなので、マイダン革命の最初期にはウクライナにいなかったのかもしれませんが、ドンバス内戦は目撃していたはずです。平和憲法を持つ日本の外交官としてドンバス内戦を終結させるためにどのような努力をしたのでしょうか。

努力どころか、アゾフ大隊(現連隊)を創設したアンドリー・ビレツキーと並んだ写真を示しながら、アゾフの兄ちゃんと酒を呑んだとあっけらかんに語っています。大丈夫でしょうか。

2022年3月25日付インディペンデント紙は、2014年8月11付テレグラフ紙から引用する形で、ビレツキーについて、<支持者から「ベリ・ヴォズド(Bely Vozd、白の支配者)」と呼ばれるビレツキー氏は、次のように書いている。「この危機的状況におけるわが国の歴史的使命は、世界の白色人種をその生存のための最後の聖戦に導くことである。セム系主導の劣等人種に対する十字軍である。」>と書いています。

Who are Ukraine’s neo-Nazi Azov Battalion? | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/world/europe/ukraine-azov-battalion-mariupol-neo-nazis-b2043022.html

日本はウクライナに多額の援助をしています。援助の条件として極右民族主義の抑止を要求してしかるべきだったでしょう。


「ウクライナ」(4) 小谷哲男・明海大学教授 2022.3.14
https://www.youtube.com/watch?v=GhNRM31uwJU

小谷哲男さんは米軍のインド太平洋戦略予算の増額を期待していますが、これは日本の隣国を米軍に軍事威嚇してほしいという考え方であり、大変危険です。また米国の核の傘にいる日本は安心とも言っています。こうした期待は幻想に過ぎません。

質疑で民間軍事会社について聞かれると、情報は持っていないと答えています。国家何とか戦略の文書やバイデンの論文など、国家や権力者のサイドの情報だけで安全保障を語ることはできません。今後の停戦に向けては、ゼレンスキーが制御できない武装勢力を考慮に入れる必要があるはずですが、そうした視点を持っているのか心許ないものがあります。

ドンバス内戦でロシア側が主張しているジェノサイドについては、証拠がないとの見解です。米国はイラク戦争で情報開示の努力をしていたと評価する一方で、ロシアは努力していないと批判。ドンバス内戦における双方の人権侵害については、国連人権高等弁務官事務所、アムネスティ、ヒューマン・ライツ・ウォッチの文書に記録されています。記者が突っ込まないことも問題です。

小谷さんは、ゼレンスキー政権を維持させて抵抗させるのが米国の狙いだとみています。これを是認しているのでしょうか。即時の停戦を考えているふうではありません。


太田光征
posted by 風の人 at 01:34 | Comment(0) | ウクライナ危機

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