2021年11月14日

2021年と2017年の比例区得票率の比較

比例区得票率の対前回比.jpg【要旨】

1.比例区得票率の数字だけを眺めれば、2017年の希望の党の票が2021年に維新・国民・れいわ(3党)に流れただけのように見えるが、無党派層が21年は自民と立民から大きく離れるなどしているため、希望から3党への票移動だけに限らない票移動があったと思われる。
2.立民支持者が比例区で共産へ投票した割合の4%は互恵原則に照らして低すぎ。

得票率の表面的な違いだけを見れば、2017年から2021年で大きく変化したのは、希望の党の解党に伴う同党得票率の消滅、日本維新の会の大幅増、衆院に新規参入したれいわ新撰組の得票獲得で、数字の上では17年の希望、維新の合計が21年の維新、希望の流れを組む国民民主党、れいわの合計にほぼ一致しています。

しかし、下記の共同通信出口調査(東京新聞)によれば、比例区東京ブロックにおいて、無党派層は17年と比べ、立憲民主党からも自民党からも離れ、維新と日本共産党への票を増やし、れいわにも投票しているのであり、立民や自民、共産にからむ票移動があったはずです。共産党については、無党派層の投票先としての割合が17年の10.9%から21年の13.4%へと意味ある増え方をしています。

衆院選・比例東京 無党派層、立民に投票23.7% 前回比8.2ポイント減 他党に分散 出口調査分析:東京新聞 TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/140422

下記の共同通信出口調査(毎日新聞)によれば、東京ブロックに限らず、無党派層は全国でも立民と自民から離れ、維新への票を増やしています。

無党派層 立憲支持が最多24%、維新伸び21% 共同通信出口調査(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/57926db23df84942ba23ae9d32243852df5a9d92

共産党は比例区東京ブロックにおいて無党派の支持を拡大しているものの、共産党の同ブロックにおける得票率は17年の10.37%から21年の10.39%へとほとんど増えていません。

増えていないどころか、全国レベルにおいて、共産党は比例区の得票率を17年の7.9%から21年の7.2%へと減らしていることから、総体として同党の得票率を減らす要因が働いたと考えられます。少なくとも比例区東京ブロックにおいて共産党は「無党派層」の支持を拡大しているので、「共産党支持者」から他野党、おそらくれいわ新撰組などに票が流れたと考えるのが自然です。

無党派層が立民からも自民からも離れたのに、なぜ立民の比例区得票率がほとんど変わらず、自民が微増したのか。現立憲民主党は旧民進党から衣替えした旧希望の党の一部と旧希望の党に流れなかった残留組としての旧立憲民主党が再合流してできた政党なのだから、旧希望に投票した有権者の一部が現立民に投票してもおかしくありません。旧希望への投票者のうち、無党派とは自己認識していない層からも、現立民に投票した有権者がいても当然なのです。自民が微増したのも、旧希望に投票した自民支持者が古巣に戻ったということか。

旧希望と現立民の関係からして、現立民の比例区得票率が17年と比べて増えて当然なわけですが、その増え方が少なすぎると思えるのは、無党派層が離れたことが影響していると同時に、立民支持者からもれいわに流れたからではないのか。

結局、下記の図式で、政党間の票移動のつじつまがほぼ合うと思います。

旧希望(17.4%)・17年維新(6.1%)の計23.4%→維新(14.0%)・国民(4.5)の計18.5%(「差4.9%」)
旧希望→立民→れいわ(3.9%)
共産→れいわによる共産の微減
旧希望→自民による自民の微増

一方、上記共同通信出口調査(毎日新聞)によれば、「立憲支持層のうち、比例で立憲に投票したと回答した人は86%に上り、共産と答えた人は4%、自民は1%だった」とのこと。立民から共産への4%という数字は低すぎです。立民は小選挙区で野党統一候補として優遇されているのだから、互恵原則に照らして、比例区は立民以外の立憲野党を優遇しましょう。


太田光征


posted by 風の人 at 16:28 | Comment(0) | 一般

2021年衆院選:野党選挙共同は二大政党制を実現するための手段にあらず

【要旨】
枝野幸男議員の立憲民主党代表辞任で野党選挙共同が発展する保証なし。
野党選挙共同は二大政党制を実現するための手段にあらず。

枝野幸男さんがこの記者会見で示した見解には本当にがっくりです。

2021年11月12日 #枝野会見 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=wHmrLbD6XeE


候補者一本化の必要性は認めながらも、野党連合政権に向けた野党選挙共同に後ろ向きで、自分の意図するところがメディアに正確に伝わらないことを強調する枝野さん。なぜこうなるかというと、枝野さんが野党候補の一本化に求めるものが二大政党制の実現にあるのに、それを説明しないからでしょう。だからメディアも正確に報道しようがありません。

野党選挙共同や政党再編に関する質問に対して、枝野さんは直接的に答えず、小選挙区制中心の選挙制度が与野党1対1の構図を要請しているとの主張を返すのみで、二大政党制という明確な言葉でその構図を作る必要性を語ろうとはしません。曖昧な言葉をメディアや世間に投げて、正確に伝わらないといっているのです。

https://youtu.be/wHmrLbD6XeE?t=928
一本化を求める市民の要望に応えられたかとの記者の質問に対して、枝野さんは「日本の選挙制度が、衆議院の、首班指名に優越感を持つ衆議院の選挙制度が小選挙区が軸の選挙制度である以上は、2つの政治勢力で競い合うということを想定している選挙制度であると。従ってですね、その政権を取ろうとする勢力がしっかりと連携をするということが、選挙制度から必然的に求められているというのが、私のこの問題に対する基本的な認識です」と答えています。

https://youtu.be/wHmrLbD6XeE?t=1171
国民民主党との合流などに関する質問に対して枝野さんは、「これもそれぞれの政治家の皆さんの判断ですから、私は先ほど申しました通り、今の選挙制度を取っている限りはですね、一定の幅の中で一つの政党であるべきだし、違いがあっても共有できる部分で共有してできるだけ1対1の構造を作るということが選挙制度から要請されていると私は思っていますが、それはそれぞれの政治家の判断ですので」と答えています。


横田一さんやIWJが核心を突く質問を行っても、枝野さんは意見開陳を含むからという理由で答えません。

横田一さんによる質問
https://youtu.be/wHmrLbD6XeE?t=1868
枝野さん「決して一つの政権を作るわけでもないし、もちろん閣内でもない。政権そのものに直接コミットするわけでもないにもかかわらず、あたかもそれらが前提であるかのように受け止められてしまった力不足、これが最大の反省です」
IWJによる質問
https://youtu.be/wHmrLbD6XeE?t=2073


枝野さんによれば、記者会見は中立的なメディアに対するものだそうです。中立的なメディアはないし、意見に基づいて各記者が質問をするのです。別のフリーから、会見の少なさが正確に伝わらない原因ではと問われ、週一会見を求められても、枝野さんは積極的に賛同しません。

横田一さんやIWJが本気の野党選挙共同について質問しても枝野さんは答えないし、立憲民主党の選挙結果を不当に評価するメディアの報道をどう思うかとIWJが質問しても枝野さんは答えません。

大変重大なのは、枝野さんが、横田一さんやIWJなどによる質問を現場の記者が困っていると発言してみたり、「争点は有権者が決めるもの」(文脈では緊急事態条項改憲は争点にあらず、という意味)と発言してみたり、質問の中身に答えないどころか、政治とメディアの関係について今日最も克服されるべき問題について、後ろ向きの見解を示していることです。

枝野さんは会見で、ノイジーマイノリティーよりサイレントマジョリティーの声を優先するかのように主張しています。緊急事態条項改憲や南西諸島でのミサイル基地軍拡の危険性を訴える声はノイジーマイノリティーで「ボトムアップ政治」でくみ取るべき声ではないというのでしょうか。メディアが公正な政治報道を怠っている状況の下で最もらしい「争点は有権者が決めるもの」という発言の持つ意味は重大です。政党のイニシアチブとまさにボトムアップ政治、そして公正な報道という、まっとうな政治を実現するための2つの要素について、真摯に向き合う姿勢がまったく感じられません。

このように野党連合政権(閣外か閣内かは別にして)を目指した野党選挙共同に後ろ向きな枝野さんですが、代表を辞めればこうした野党選挙共同が発展するかといえば、その保証はありません。

自民が立民より議席を減らしたのに、メディアは今回の衆院選における野党選挙共同の成果を不当にけなしています。この不当な評価を枝野さん辞任と抱き合わせにして、立憲民主党内では新代表の選挙を通じ、野党選挙共同が後退に向かう恐れがあります。新代表候補の1人である泉健太さんは、維新との連携を主張するような方です。

野党選挙共同に後ろ向きな枝野さんの辞任を求める圧力が、結局は野党選挙共同つぶしに荷担しかねない状況を作り出していることを反省する必要があると思います。無条件に枝野辞めるなでもなく、枝野さんの責任は野党選挙共同を本気のものにすること、という世論を高めることが必要だったのです。

今後の野党選挙共同にとって大事なことは、それが二大政党制を実現するための手段ではないことを確認することだと思います。また、不当な報道を押し返す気構えとその実践なくして野党の勝利はあり得ません。


太田光征
posted by 風の人 at 14:48 | Comment(0) | 一般

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